インフォームド・コンセントの法理および患者の意思と自己決定権に関する比較法的研究
Project/Area Number |
03620024
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会法学(労働法,社会保障法,経済法等)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 英二 神戸大学, 法学部, 教授 (10030636)
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Project Period (FY) |
1991 – 1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | インフォームド・コンセント / 説明 / 同意 / 自己決定権 / インフォ-ムド・コンセント / 説明と同意 / 同意能力 |
Research Abstract |
本年度は前年度の研究を基礎として、治療放棄などの場面における患者の自己決定権が尊重される程度および条件を研究する計画であった。しかし、前年度で完了するはずであった本法理自体の研究の取りまとめに時間をとられ、治療放棄などの場面における意思の問題については、網羅的研究には至らなかった。半面、インフォームド・コンセント自体の研究は一層進展させることができ、日米、とくにアメリカについてはすべての法域について判例・法律を網羅的に調査検討することができた。アメリカでの働きについて得られた知見で昨年記した以外のものとしては、議会制定法が医師寄りの傾向があるのに対して、裁判所の判決は(少なくとも原理面では)被害者救済を重視する傾向にあること、判決において制定法がわが国ほど重視されないこと、各州法を比較すると相違とともに模倣が見られる場合があること、など、英米法研究の点からも興味あるところを挙げることができる。また、根本的な点として、因果関係の要件において合理的患者説をとる現在のアメリカの本法理においては、医師の治療が合理的患者の選択に合致するものである限り、説明義務を尽くさなくても損害賠償責任は課されないことになる点で、本法理が、患者の自己決定権の擁護に必ずしも適合していない状態にあることが確認された。昨年も記したように、わが国でも請求が認容される事例は少ない状態であり、日米両国で、本法理はその前提とする理念を裏切る状態にあるといえる。治療放棄などの場面については、患者の意思を最優先すべきであるという理念が最重要なものであることは否定できないが、現実に問題が生じるほとんどの場面において、それは一義的な解決基準になっておらず、また、リヴイング・ウイルスなどの方法には虚構性がある。このような観点からは、患者の最善の利益など意思以外の指導原理の探究と精密化が必要であると痛感された。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)