Research Abstract |
χは複素変数,χ=0を不確定型特異点にもつ次の2連立常微分方程式(E)χ^2dy/dχ=(μ+αχ)y+f(χ,y,z),χ^2dz/dχ=(-ν+βχ)z+g(χ,y,z)において,μ>0,ν>,α,β∈C,f,gはC^3の原点で正則な関数とする。f,gの(y,z)に関するTaylor展開は2次の項から始まるものとする。Poincareを条件満足しないこの方程式に対し,次の二つの場合を研究した。 1^゚。(E)の右辺がχを含まない場合は,(E)は次の方程式と同値である:(E_0)dy/dχ=μy+f(y,z),dz/dχ=-νz+g(y,z)。 比μ:νが有理数(μ,ν∈N,(μ,ν)=1としておく)のとき,形式変換(F_0)y〜η+Σp_<jk>η^jζ^k,z〜ζ+Σq_<jk>η^jζ^k,pjk,qjk,∈Cにおいて,pjk,qjkを適当にえらぶことにより,(E)は次の形の方程形(S_0)dη/dχ=ζ(μ+α^1(η^νζ^μ)^m)+α^μ(η^νζ^μ)^<2m>)。dζ/dχ=ζ(-ν+β^1(η^νζ^μ)^m+β^μ(η^νζ^μ)^2m)に変換される。仮定Re(να^1+μβ^1)>0をおく。このとき(S_0)のStabledomainsを構成し形式変換(F_0)の解析的意味づけを行った。α^1,α^<11>,β^1,β^<11>∈C,m∈N. 2^゚。比μ:νが無理数,かつf(o,y,z)〓0,g(o,y,z)〓0となる場合,pjk(χ),qjk(χ)は|argχ±π/2|<π,(|χ|が十分小)においてχの整級数に漸近展開可能な正則関数とし,次の形の形式変換を行う: (F)y〜η+Σpjk(χ)η^jζ^k,z〜ζ+Σqjk(χ)η^jζ^k。 pjk(χ),qjk(χ)を適当に選ぶことにより,(E)は次の線形方程式に変換される:(S)χ^2dη/dχ=η(μ+αχ),χ^2dη/dχ=ζ(-ν+βχ)。 Re(να+μβ)>0なる仮定のもとに,形式変換(F)の解析的意味づけに成功した。(S)のStable domainsの構成の他に新たに解析接続の手法を考案した。それは,まずn∈Nを一つ固定し,|η^νζ^μ|^n<|χ|なる範囲で(F)の解析的意味づけを行う。解の一意性を証明した後に,このnが任意の値をとり得ることを示すことにより,上記の|η^νζ^μ|と|χ|との間のorder関係が取り除かれることを結論する。
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