Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
ラジカルイオン対は多くの光化学反応初期過程,特に光合成過程において重要な役割を果たしている。またラジカルイオン対としての相互作用は、化学反応への磁場効果への寄与として注目される。我々は時間分解ESR法によるラジカルイオン対の研究をマイクロ波の吸収発光スペクトルとして研究してきた。今回の科学研究費により光検出と時間分解ESP法を組合わせ,ラジカルイオン対に関する新しい知見を得る試みを行った。ラジカルイオン対は光励起による生成後,散逸するか再結合あるいは逆反応による前駆状態への回復が起こると期待できる。従って,ラジカルイオン対経由の遅延蛍光をモニタ-することにより,マイクロ波吸収あるいは光吸収と同様の研究,さらには前駆状態とのエネルギ-関係,交換相互作用の大きさ等に関する新しい知見が得られる。 技術的問題として,遅延蛍光より千倍程強い直接蛍光を区別しなければならない。従って光電子増倍管に電気的ゲ-トを設け,その除去に成功した。具体的にはTMPDの光イオン化を種々のアルコ-ル中で研究し,その遅延蛍光が他の手法と同じ寿命をもつことを明らかにした。このことは,このTMPDカチオンと溶媒和電子の系で逆反応過程が重要であることを示している。また外部磁場により,この蛍光強度が変化し,弱いながら予想どおり磁場効果が存在することが明らかとなった。 光検出と同時にラジオ波をパルス化して加え,ラジカルイオン対における核スピン状態に変調を行い,マイクロ波への反応を観測する試みを行っている。今後の計画としては,マイクロ波下における磁場による光強度スペクトルの観測,さらにラジオ波による光検出といった新しい方向に発展させて行く予定である。
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