Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
非水溶媒を有効に利用するためには,反応や平衡に対する溶媒効果を定量的に評価し,最適の溶媒を選択することが望ましい。イオンの溶媒和及び酸塩基,酸化環元などの諸反応に対する溶媒効果の評価には,異種溶媒間の電位の比較を含む電気化学測定法が有用である。しかし從来は,異種溶媒間の電位の比較に,溶媒の影響を受けないと考えられる電位基準系を用いる方法と,異種溶媒間の液絡で生じる液間電位差を無視する方法とが採用されてきた。これらの電位比較法は,何れも非熱力学的な仮定に基づくものであり,その信頼性は十分とは言えない。 研究代表者は,最近,異種溶媒間の液間電位差の新しい評価法を提案した。この方法は,液間電位差を構成する三成分をそれぞれ別々に,理論と実験に基づいて見積もる方法である。本研究は,この液間電位差の評価法を用いて,新しい異種溶媒間の電位比較法を開発し,非水溶液化学への応用に資することを目的とするものである。本研究で以下の成果を挙げることができた。1)液絡の電解質としてアルカリ金属塩を用いても,從来検討したテトラアルキルアンモニウム塩の場合と同様に,三成分法による液間電位差の見積りが可能なことを示した。2)液絡両側の電解質が異なる場合にも,同種電解質の液絡と同様に三成分法による見積りが可能なことを示した。3)三成分法による液間電位差の見積りの結果を,從来からの間接法による結果と詳細に比較検討し,三成分法の信頼性の良好なことを示した。4)本研究による異種溶媒間の電位比較法の応用として,イオン電極をセンサ-とするイオン溶媒和の研究を行った。とくに,リチウム電池の基礎研究として行った炭酸プロピレンージメトキシエタン混合溶媒中のリチウムイオンの溶媒和の研究と,水素イオンの溶媒間移行活量係数の研究では,重要な知見を得ることができた。
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