Project/Area Number |
03640520
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
無機・錯塩・放射化学
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
赤堀 興造 広島大学, 総合科学部, 教授 (80034578)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 非ヘム鉄 / 光合成 / 光化学系II / 電子伝達 / 光合成第1電子安定受容体 |
Research Abstract |
(目的)結晶構造解析されている紅色光合成細菌の光化学反応中心の構造に基づき、PSIIのQ_A,B_Bおよび非ヘム鉄(Fe^<2+>)の総合部位が推定されている。この非ヘム鉄に関して、光合成細菌とPSIIではそれらの配位状態や化学的性質に大きな相違点がみられるが、これら非ヘム鉄のQ_A→Q_B電子伝達に対する役割については不明のままである。本研究では、PSIIの非ヘム鉄(Fe^<2+>)を除去した試料及びFe^<2+>を他の金属イオン(Zn^<2+>)で置換した試料の調製し、Q_Aー(Fe^<2+>)ーQ_B電子伝達と非ヘム鉄の配位状態及び酸化状態を調べ、このFe^<2+>の役割を見い出すことを目的とした。 (実験)光化学反応中心複合体(RC)を作り、さらに、Tris処理を行い、水分解系を失活させることによりQ_Aー(FE^<2+>)ーQ_B電子伝達過程の測定系を簡単化し、これを基準試料(TrisRC)とした。TrisRCよりFe^<2+>を除去した試料(ーFe^<2+>ーTrisRC)及びFe^<2+>を他の金属イオンで置換した試料(Zn^<2+>ーTrisRC)を調製した。この3種の試料について、電子伝達に影響を及ぼす因子(pH,HCO_3^ー,HCOO^ーなど)を変化させ、Q_Aの生成消滅過程をレ-ザ-フラッシュフォトリシス分光法により、非ヘム鉄(Fe^<3+>)への配位状態を低温(5K)EPR法により観測した。 (結果)レ-ザ-フラッシュフォトリシス測定結果、HCO_3^ー存在下で、TrisRCはQ_A消滅の速い緩和過程が大きく出現する。HCO_3^ーを完全に除く目的で、HCOO^ーを作用させたものでは、この速い緩和過程の著しい減少が生ずる。Zn^<2+>ーTrisRC,ーRe^<2+>ーTrisRCではこのような大きな差異はほとんど見られなかった。 従来、HCO_3ーがPSIIのQ_A→Q_B電子伝達に必須と言われていたが、RCの非ヘム鉄へHCO_3ーを配位させた場合、HCOO^ーの配位の場合に比べて、その電子伝達速度は約10倍大きくすることが明かとなった。以上、PSIIの非ヘム鉄にHCO_3ーが配位することによりQ_A→Q_B電子伝達を制御している可能性が考えられるが、今後一層の研究が必要である。
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