二重環多核銅錯体の分子建築とそれによる分子認識機能制御
Project/Area Number |
03640531
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
無機・錯塩・放射化学
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
北川 進 近畿大学, 理工学部, 助教授 (20140303)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 小分子包接体 / 錯体ポリマ- / 二重環構造 / 銅錯体 / 分子建築 |
Research Abstract |
金属錯体の連結により適度のサイズの環状錯体を合成し、各種小分子またはアニオンの選択的包接空間の構築を目的とした。 1.ピラジン銅(I)錯体ポリマ- ピラジン(pz)を用いてポリマ-銅(I)錯体の合成を行った。得られた錯体ポリマ-のX線構造解析に成功した。この構造はピラジンが3配位、CH_3CNが1配位した四面体構造の銅を単位とし、それぞれの配位ピラジンのもう一方のNが銅(I)に配位した2次元ポリマ-であった。{[Cu(C_4H_4N_2)_<3/2>(CH_3CN)](PF_6)0.5C_3H_<60>}∞。この無限平面シ-トは六核銅の六員環を基本ユニットとした構造を持ち、しかもこの六員環のキャビティにはアセトンが取り込まれていた。通常小分子が層間に取り込まれることが多いのに比べ、環内に取り込まれたものは非常に珍しく、錯体ポリマ-のホスト、ゲスト化学を展開する上で重要な意義ある成果が得られた。 2.二核銅(I)マクロサイクリック錯体:(C_6H_5)_2P(CH_2)_6P(C_6H_5)_2配位子(dpphと省略)を用いて銅(I)錯体を合成した。得られた錯体は二核銅(I)構造を有する[Cu_2((C_6H_5)_2P(CH_2)_6P(C_6H_5)_2)_2]であった。このX線構造解析に成功し、CuーPー(CH_2)_6ーPーCuーPー(CH_2)_6ーPなる環構造を持つことが明らかになった。さらにこの環内には対アニオン(過塩素酸アニオンや硝酸アニオンなど)が銅に架橋した形で取り込まれており、CuーXーCuーX(X=C10_4ーまたはNo_3ー)なる小環構造を持つ内環であった。これは世界で初めての錯体による二重環構造である。各種アニオンを用いてこのキャビティへの取り込まれ安さを ^<31>PNMRスペクトルの吸収線強度から見積もったところ、PO_4^<3->,VO_4^<3->のような多価アニオンよりC10_4^-,NO_3^-の様な一価アニオンに選択的であることがわかった。これより環の立体構造、サイズ、キャビティの柔軟性を制御することで選択的取り込みを行う珍しい錯体包接系の構築が可能となった。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)