Project/Area Number |
03640610
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
動物発生・生理学
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本川 達雄 東京工業大学, 理学部, 教授 (80092352)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | ウミユリ / 棘皮動物 / 結合組織 / キャッチ結合組織 |
Research Abstract |
東大三崎臨海実験所で、雨宮昭南氏がウミユリ(トリノアシMetacrinus rotundus)を水槽内で長時間(6か月以上)飼育することに成功した。その動物を用い、ウミユリの行動を世界で初めてビデオ撮影し解析した。 これまでの推測によると、ウミユリはほとんど動かないとされてきた。理由は、柄や巻枝には筋肉がないこと、また、腕には筋肉はあるが、関節の口側のみであり、反口側には筋肉はないので、腕を動かせたとしても、ぎこちない運動となって、とても這ったり泳いだりは難しいだろうということである。ところが実際に観察してみると、トリノアシは、かなり活発に動き回ることが分かった。海底に横たえておく、流れのより強い場所に這っていき、岩によじのぼり、柄を垂直に持ち上げて、腕をのばして摂食姿勢をとる。這う速度は、最大、30分で35cmであった。這うときには、腕を使った。腕の動きには2種類観察できた。一つは、ピンとのばした腕を進行方向に倒し、先端が地面に着いたら腕を反口側に曲げて体を引っ張るやり方。もう一つは、反口側に湾曲した腕の先端を地面に着け、腕をのばすことにより、体を押すやり方。腕の形態を調べたが、他の種で言われてきた通り、筋肉は腕の関節の口側にしか存在しなかった。そこで、反口側への運動は靭帯の弾性によるものと考え、力学試験を行った結果、靭帯は高いレジリアンスを示した。柄や巻枝の変形能は、状態により変わった。たとえば、垂直の金網に登った状態では、巻枝は金網にしっかり巻き付いているが、光刺激により、巻き枝の関節はやわらかくなり、自重を支えきれなくなり、金網から個体が落ちてしまう。柄や巻枝の関節は靭帯のみでできているので、この変形能の変化は、靭帯がかたさの変わる結合組織(キャッチ結合組織)でできていることを示唆する。腕の運動から、腕にもキャッチ結合組織が存在することが示唆された。
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