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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
西南日本の地質体は主に顕生時代の島弧ー海溝系の付加体物質からなっている。北の秋吉帯はペルム系であり,すぐ南の美濃ー丹波帯はジュラ系である。最南帯の四万十帯は白亞系ー第三系となっている。秩父帯を除くと北から南にかけて地質体が若くなっている。秩父帯は北帯,中帯及び南帯の三帯に分帯されてきているが,いずれも島弧ー海溝系付加体物質からなっている。北帯と南帯は主にジュラ系からなっているが中帯はペルム系からなっている。この中帯の特異な存在が従来から問題となっている。この中帯を含めて周囲の地質体の低変成度岩類の微細な白雲母を分離濃集し系統的なKーAr年代測定を実施してきた。それによって,従来化石が全く発見されずその帰属が不明の地質体の変成岩年代が明確になっていく過程でいくつか重大な発見があった。それは,三波川変成岩分布南限と秩父帯中帯の地体構造である。秩父帯中帯はペルム紀の年代を持ち尚かつ周囲のジュラ紀地質体の上に低角度の断層を境してあることがわかった。中帯内の他の特異な地質体を含めて中帯の構成要素は西南日本内帯のペルム系やそれ以前の地質体構成要素と酷似するすることから中帯は西南日本内帯のクリッペとして意義を提案することができた。それによって,西南日本全体の顕生時代島弧ー海溝系付加体形成プロセスを非常に単純な島弧ー海溝系で説明できるようになった。それは今後の島弧ー海溝系造山運動の基礎を作ったと言える。
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