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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
硫化物やSe等を用いて,化合物半導体表面の原子/電子構造を改善させる試みが盛んに進められている.我々は,これまでに,SーGa結合が形成させると考えられているS/GaAsー2x1構造のSTS(走査トンネル分光)を行い,同構造の準位がバンドギャップ内に存在しないことを示し,光電子分光等によって得られてきたモデルを指示する結果を得てきた.しかし,原子レベルの構造は確認されていなかった.処理表面が原子レベルで配列するか否かは,同処理を表面/界面安定化の手法として用いる上でどうしても明らかにせねばならない点である.そこで,同様の相変化を示し,より安定な構造を持つとされているSe/GaAsに対してSTM観察を行った結果,原子レベルで配列する4x1構造を観察することに成功した.処理表面はかなり荒れているが,平坦な場所では,[110]方向に沿って延びる例が,[110]方向に間隔1.6nmで配列した構造が存在する.[110]方向に沿った断面構造を解析した結果,観察された列構造は,ダイマ-列がペアリングを起こしたモデルと良く対応する.これは,これまで光電子回折等により得られた結果と一致するものである.場所によっては,部分的に単独のダイマ-列と思われる構造も存在し,熱処理の条件によって,2x1→4x1の相変化が生じている可能性が高い.S/GaAs(001)表面でも同様の回折パタ-ンの変化が得られることから,これまで観察には成功していないが,2x1→4x1構造変化に対して良質の原子配列が存在する可能性が高いと思われる.原子レベルでの配列が確認されたことから,S,Se等の適当な物質を適当な条件下で表面/界面に導入することにより,理論計算と併せて,目的に応じた理想的な化合物半導体表面/界面を設計する可能性が示されたといえる.
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