Research Abstract |
磁界が上方に行くに従って減少している磁界勾配を有する磁界中に火炎を暴露すると、OH^*のA^2Σ→X^2遷移、CH^*のC^2Σ→X^2II遷移、等によるラジカル発光強度が増加し、燃焼効率が向上し(青木:電気学会論文誌A、112,2(1991)p.123)、火炎の大きさが減少(T.Aoki:Jpn.J.Appl.Phys.28(1989)p776)する。まず、この現象のうちの一つ、火炎の大きさについての解明を一層進めるための実験として、勾配磁界による酸素富化空気が同勾配磁界中で生ずる火炎の寸法変化に与える影響の特徴についての研究を行った。その結果、(1)勾配磁界中で酸素の濃縮が起ったとすると、火炎のx,y,z方向の大きさの変化率Rx,Ry,Rzはそれぞれ、Rx<<2.1×10^<ー2>,Ry<<1.2×10^<ー2>,Rz<<1.1×10^<ー1>で与えられる。(2)勾配磁界による酸素富化空気の効果は火炎の高さに最も敏感に現れるのに対し、逆に磁界の効果は火炎の横幅に最も敏感に現れることが判った(詳細は、青木:電気学会マグネテイックス研究会資料MAG91ー154(1991)pplー8)。 磁場が球状空間の中心方向に減少する空間では、ラジカル発光、etcの磁気制御の可能性がある。これは一部発表済みである(T.Aoki:Jpn.J.Appl.Phys.29,5(1990)864)が、さらに詳しく研究を進める為、この磁気空間における交流磁場による発光強度Iの変化の位相差φ、振幅等の周波数特性に関する情報を得るための実験を行った。その結果、(1)φm(Iの最大値と励磁電流の最小値との位相差)およびφはfが大きいほど大きくなり光強度は磁場に追従し難くなる。(2)発光波形の歪(φーφm)は1.8Hzで最大になり、fが大きいほど小さくなる、(3)Iの振れ幅は青色より橙色の方が変化を受けやすい。即ち火炎上部の酸素供給の不足状態で起る固体放射が交流磁場の影響を受けやすい。これは火炎上部の方が磁場により酸素不足になりやすい為と思われる。等々のことが判明した(詳細は、青木:電気学会マグネテイックス研究会資料MAG91ー155(1991)pp9ー13)。
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