Project/Area Number |
03650059
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
熊井 真次 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (00178055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 矢吉 東京工学大学, 精密工学研究所, 助教授 (30016802)
布村 成具 東京工学大学, 精密工学研究所, 教授 (60016764)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Keywords | 金属基複合材料 / 疲労き裂伝播 / 鋳造用合金 / アルミニウム合金 / 炭化けい素 / 高圧鋳造 |
Research Abstract |
炭化けい素(SiC)粒子で強化したアルミニウム合金は比強度、耐熱性に優れた複合材料である。従来、粉末冶金法、圧延、押出し等により均質な材料の製造が可能となってきているが、高い製造コスト、難切削加工性等の問題がこの種の複合材料の実用化の大きな障害となっている。SiC粒子強化鋳造用アルミニウム合金はキャスティングによるニアネットシェイプ成型が可能なため、上述の問題を打開できる。しかし、鋳造用複合材料の場合には、SiC粒子分散は凝固条件に支配され、このため材料の機械的性質に及ぼす凝固組織の影響を明らかにしなくてはならない。本研究では特に疲労特性に注目し、疲労き裂伝播挙動に及ぼすSiC粒子ならびにマトリクス組織の影響を明らかにすることを目的とした。鋳造欠陥の影響を極力少なくするため、高圧鋳造法で作製し、種々の熱処理を施した10%および20%のSiC粒子を含有するA356アルミニウム合金ならびに比較材として無改良およびSr改良処理を行なったA356合金について、疲労き裂伝播試験を行なった。その結果、次のような知見が得られた。 1)SiC粒子の含有によりき裂伝播に必要な応力拡大係数の下限界値が向上した。2)パリス域での勾配はSiC粒子量の増加とともに増大した。これはSiC粒子および共晶Si粒子を核としたディンプル形成によるき裂伝播速度の加速効果であると考えられる。3)破面観察よりパリス域から最終破断に至る高伝播速度領域への移行は、マトリクス中の共晶Siの形態に支配されていることを見いだした。そこで共晶組織を球状化、あるいは更に微細化したところ疲労き裂伝播速度の大きな低減が見られた。以上のようなことからネットシェイプ成型を目的とした鋳造用アルミニウム合金複合材料の疲労き裂伝播特性を向上させるためには、SiC粒子分散のみならず共晶Si粒子の組織制御が重要であることが明らかとなった。
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