原子レベルの除去加工メカニズムのコンピュ-タシミュレ-ションに関する基礎研究
Project/Area Number |
03650093
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
機械工作
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
前川 克廣 茨城大学, 工学部, 助教授 (20126329)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 郁也 茨城大学, 工学部, 助手 (80007632)
|
Project Period (FY) |
1991
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
|
Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1991: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | 超精密加工 / 除去加工 / 加工限界 / コンピュ-タシミュレ-ション / 分子動力学法 / 原子レベル / 原子間ポテンシャル / マイクロトライボロジ |
Research Abstract |
本研究では、機械的微細加工における加工限界を明らかにするために、原子の移動、分離あるいは付着といった微視的レベルにおける加工のメカニズムを扱えるような物理モデルを構築し、コンピュ-タシミュレ-ションを行った。得られた知見をまとめると、次のようになる。 (1)経験的なポテンシャルとして2体間ポテンシャルに加え、固体内の電子雲に原子を埋め込むエネルギ-も考慮したEmbeddedーAtomーMethod(EAM)を一部分3体間ポテンシャルに拡張することによって、ダイヤモンド単結晶工具と銅単結晶との間の相互作用を与える原子間ポテンシャルを導いた。 (2)底辺の2原子層を固定した約50000の原子数からなる銅の理想結晶に対して、切れ刃稜の丸み半径rが20nmのダイヤモンド工具を室温で切削速度に等しい原子速度を与えて、ある設定厚さfで銅原子にそって進行させる過程を分子動力学(MD)法によってシミュレ-ションした。その結果、(1)臨界除去厚さはr/10程度であること、(2)切りくずとしての原子の排出過程は擬定常的な「原子の盛り上がりーせん断帯の形成ー局所的すべり」の繰り返しからなること、(3)f<r/10になると、比切削エネルギ-が銅の結合エネルギ-(4.8×10^4N/mm^2)を上回り、相変化が生じうること、(4)ダイヤモンド表面の炭素原子が抜ける、摩耗の現象も生じうること、(5)工具の弾性変形、すなわち逃げ面と仕上げ面との相互作用も無視しえないこと、を明らかにした。 (3)EAMをシリコン単結晶とダイヤモンド工具、および窒化ケイ素とダイヤモンド工具との異材界面での原子間ポテンシャルにも拡張し、MD法を適用した。いずれの場合も結晶方位に依存して原子の分離が起こり、それがき裂の伝播となって、原子の集団が不連続に除去されるといった現象が確認されたが、臨界除去厚さを同定するまでには至らなかった。 (4)今後の課題として、(1)原子配置が変化するたびに電子状態から原子間ポテンシャルを求めなおすための計算時間の短縮(カ-・パリネロの方法の検討)、(2)大気中での吸着原子の考慮、(3)原子モデルと連続体モデルを併用した解析、の3点を指摘した。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)