Research Abstract |
近年,常時,事故時の電圧・電流の情報の検出,収集と処理を,電気所で行うだけでなく,配電線路も含めた配電系統全般で行う必要が生じている。配電線路上で電圧・振流夜計測するには,耐候性や耐雑音性などの諸条件を満足する必要があるが,従来型の電圧・電流変換装置でこの必要条件を満たすことは困難で,光電圧・電流センサとそのシステムの開発が急務となっている。しかし,これまで,配電系統に用いる光応用センサ素子の最適設計並びにその素子を用いた配電用光応用センサシステムの開発を目的とする基礎研究例は少ない。 そこで,本研究では,配電用光電圧センサとしての最適素子の設計条件を見い出すことを目的に,結晶素子として熱特性などが優れたBGO単結晶を用いて,その結晶寸法等を変えたときの基礎特性を調べた。その結果、変調度は,検光子からの光出力強度が最大になるように検光子の方位角を調整すれば、結晶の厚さ(光路長)に無関係であることがわかった。さらに,BGOポッケルス素子を,新たに考案した配電用光電圧センサシステム(分圧器を特別に用いず,素子と直列エアギャップから構成されている)のセンサとして用いて,結晶軸に対する素子の切り出し面と寸法を変えた場合の,BGO素子の諸特性を調べた。その結果,結晶軸に対する素子の切り出し面と寸法についての限界条件を明らかにすることができた。また,本研究から,最適設計に基づく素子を利用すれば,相電圧計測のみならず,零相電圧計測も可能であることがわかった。なお,平成4年では,本研究で用いた新考案の光電圧センサシステムを広く配電系統に利用するための基礎研究(配電系統上の電圧計測用ギャップ付光センサの開発)を,光電流センサの最適設計の研究並びに光電圧,電流センサシステムの実用化研究(電圧,電流計測用光センさの配電系統への適用)と平行して行う。
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