Research Abstract |
通信網制御において,ある制御が適切であるかどうかは,制御した後にならないと分からないが,そのときの局間交流呼量や空き回線数,前週同曜日同時刻のトラヒック状況などから予想をたてることはできる.従って,そのような予想を用いて制御を行えば,かなり良い制御を行うことができる.このような制御は,要するに,知識処理である.知識表現及び推論の方法はいろいろあるが,通信網制御にはファジ-推論が向いている.すなわち,通信網制御では数値を扱うが,通信網は巨大システムであるため,判断の基準となる数値が状況によりいろいろと変化する.ファジ-推論では,瞹眛さを含んだ形の数値で知識を表現し推論を行うので,このような条件にかなっている.本研究では,以上のような観点から,ファジ-推論による通信網の知的制御のシステム構成,制御法,制御規則,制御規則の学習法などについて検討した. 網全体にわたる制御では,多数の変数を扱うことになる.従って,単純なファジ-システムでは,ファジ-規則が非常に多くなり,複雑であるばかりか,保守上の問題も生じる.そのような問題には,ファジ-システムの階層化が有効である.そこで,そのシステム構成,各階層の役割分担などについて検討し,比較的簡単なシステムで良好な特性が得られることを示した.ファジ-システムを実装する上での一つ問題点は,適切な制御規則を見つけるために,最初にシミュレ-ションなどで試行錯誤を行わねばならないということである.そこで,制御規則の中のメンバシップ関数のパラメ-タを運用中に学習により調整する方法の検討を行った.制御の失敗を調べ,それを抑制する方向に調整する方法,および,もともとの制御目的である利益最大化に向かうよう調整する方法の二つを提案し,トラヒック変動があるような場合は,後者が有利であるという結果を得た.
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