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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
岩盤内の初期応力を推定する方法の一つであるアコ-スティック・エミッション(AE)法は,岩石のAEカイザ-効果に立脚した推定法ある。AEカイザ-効果は後載荷に伴う先行微細亀裂再活性化に相当する現象であるため,AE法による先行応力推定には先行載荷と類似な載荷を行うことが必要であるとされて来た。地圧の履歴が不明である初期応力推定問題においては,原位置岩盤から抽出した岩石試験片に対して先行載荷と類似な載荷を再現することが出来ないと言うことで,AE法の適用性を疑問視する意見もある。そこで本研究は,先行載荷と後載荷時の載荷方向が食い違いがAEのカイザ-効果の発現に及ぼす影響をモデル実験を行って調べ,AE法が拠り所とするカイザ-効果の発現異方性について検討した。得られた知見と課題を以下に列挙する。 1.AEカイザ-効果の標定精度は設定するAEの敷居値に深く関係するが,試験片の破壊進行度(試験片に与えている応力度と試験片の一軸圧縮強度の相対的大きさ)を考慮することで,AEカイザ-効果の発現点の標定精度を改善することができる。 2.AEカイザ-効果は試験片のサンプリング方向の先行直応力の大きさに対応して発現する。したがって,現行試験法はサンプリング方向の地圧成分を推定するものと考えられる。 3.観察されたAE波形に,載荷方向の食い違いによる顕著な相違を見出せなかった。 4.サンプリング方向に直角な変向の先行応力履歴がサンプリング方向のAEカイザ-効果の発現及ぼす影響についての検討を行う必要がある。AE法による地圧推定の信頼性を保証するには,本件に関する検討が不可欠である。
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