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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
標準的な沖積平野(八代平野など)は洪積世の砂礫層とこれを覆う沖積層からなっていて,この両者の間にS波速度や密度の違いがあるので,帯水層である砂礫層の深度を推定するのは比較的容易である。これに対して,熊本平野では沖積層の下部に複数の帯水層が存在する。それらは洪積世の地層で,上部から順に,砂礫層,火砕流堆積物(ASOー4,ASOー3など),多孔質の砥川溶岩である。 このような熊本平野において短周期(固有振動数1Hz)振動計と長周期(固有振動数0.2Hz)振動計を用いて微動の測定を行い,前者で1Hz以上の卓越周波数がある場合,後者では1Hz以下の場合について解析した。地層の種類やN値を記載したボ-リング柱状図があり,すでに地下構造が明らかになっている18箇所を選んで検討の対象とした。 N値から推定されるS波速度と微動計測から得られる卓越周波数から計算される深度は,ほとんどの場合,最上部の洪積層までの深度に対応した。このことは熊本平野の帯水層である複数の洪積層の間のS波速度や密度の違いが小さく,沖積層と最上部の洪積層との間のコントラストの方が大きいことを意味している。 本研究の結果から,概査の一つである微動計測は洪積層の深度を推定するのには有用であるが,速度と密度に大きな違いがない地層構造を解明するための主役とはなり得ないことが明らかとなった。
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