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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
1.高ひずみアセチレン,ビシクロ[2.2.2]オクチン,の反応によりビシクロオクテン(以下BCOと略記)のオリゴマ-を合成し下記(1),(2)の出発原料として用いた。 (1)ビシクロ炭素骨格をもつシクロオクタテトラエン(COT)誘導体の合成と物性検討:BCO4量体の末端2臭素化物を還元的に還化することにより新しいCOT誘導体1の合成に成功し,その分子構造をX線結晶解析により明らかにした。1は金属Kにより容易に平面型ジアニオンに還元され,一方,1電子酸化により安定なカチオンラジカルを生じることがCVおよびESR測定により明らかとなった。このSbF_6^-塩は安定な濃緑色粉末であるCOTのカチオンラジカルが単離された初めての例である。 (2)BCO5量体の還元的環化:BCO5量体2臭化物を1電子還元すると末端での還化は起こらず,新しい多環式炭化が得られた。X線構造解析によりこれはBCO還の縮環した2個のシクロペンタジエンが2,3位でスピロ結合したビシクロオクタンであり,その中央の単結合は両端にあるπ電子系間の結合経由相互作用により異常に伸びていること,2電子還元され安定なジアニオンを与えるほか連続的な1電子酸化を受けるなど,極めて特徴的な酸化還元機能をもつことが明らかとなった。 2.含カルコゲン環状アセチレンの多量化反応について検討した。即ち硫黄を含む6員環化物合,2,3ージブロモ-1,4ージチアー2ーシクロヘキセン,を新たに合成し,Li/Br交換と脱LiBr反応を経て,極めて反応性の高い含硫黄高ひずみアセチレン(1,4ージチアシクロヘキシン)の発生することを,化学的捕捉により確認した。次に反応条件を種々検討し,THF中にてジチアシクロヘキセンの比較的低分子量のオリゴマ-が生成することを確かめた。現在この物質の性質(重合度,電気化学的性質,πドナ-性,導電性など)について検討中である。
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