Research Abstract |
12ータングストリン酸の過酸化水素溶液を塩化セチルピリジニウムで処理して得られるパ-オキソタングストホスフェ-ト(PCWP),〔πーC_5H_5N^+(CH_2)_<15>CH_3〕_3{PO_4〔W(O)(O_2)〕_4}^<3->,を用いていくつかの酸化反応を検討し,これまでに以下のことが明らかになっている。 (1)オレフィンおよびvicージオ-ルの酸化 オレフィンをPCWPを触媒として用いクロロホルムを溶媒とする相間移動条件のもとで酸化するとαーヒドロキシケトンが比較的よい収率で生成することを認めた。この反応の経時変化を追跡し,vicージオ-ルが中間体として生成していることを確認した。別途調製したvicージオ-ルの同条件のもとでの酸化反応は良好にαーヒドロキシケトンを与え,これまでこの種の酸化反応では達成できなかったvicージオ-ルのαーヒドロキシケトンへの直接変換が始めて触媒的に達成できることが明らかになった。 (2)アルキンの酸化 4ーオクチンのような内部アルキンをPCWPーH_2O_2系で酸化するとα,βーエポキシケトンが生成するが,この反応過程を明らかにする目的で種々検討した結果,オキシレンを中間体として反応が進行し,α,βー不飽和ケトンへ転位し,その後エポキシ化されることが明らかになった。従来,α,βー不飽和ケトンのような電子不足オレフィン類のエポキシ化は求電子的に達成することが難かしく,ヒドロペルオキシアニオンのような求核種によって行なわれていたが,本酸化系はパ-オキソ酸素に由来する強い求電子種によって達成されていることがわかった。
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