土壌微生物のマイクロハビタットの同定・創作とその利用
Project/Area Number |
03660063
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
妹尾 啓史 東京大学, 農学部, 助手 (40206652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 聡 東京大学, 農学部, 助手 (40220884)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Keywords | Sphingomonas paucimobilis SS86 / マイクロハビタット / 土壌 / γーBHC / 接種微生物 / 土着微生物 / 土壌団粒 / 毛管孔隙 |
Research Abstract |
農薬γーBHC分解菌Sphingomonas paucimobilis SS86を供試微生物として用い、この菌株の土壌中のマイクロハビタットの同定を行った。この微生物は、農薬長期連用畑圃場の、BHCが連用されているBHC連用区土壌には土着微生物として常在しているが、BHCの施用されていない対照区土壌からは検出されない。 SS86を対照区土壌に接種すると、BHCを土壌に添加しない場合には増殖することなく速やかに死滅し、BHCを添加した場合には、SS86はそれを資化していったん増殖し、その後の死滅は緩やかになった。一方、BHC連用区土壌に土着のSS86は、この土壌中で10^3 cells/g soilのレベルで長期間生残した。すなわち、土壌に接種されたSS86は、土壌中で増殖できない場合には生残部位を獲得できず、増殖した場合には短期生残部位を獲得でき、BHC連用区土壌に土着のSS86は長期生残部位を獲得していると言える。 これら3種の生残・死滅過程において、土壌のクロロホルム薫蒸および篩別法による耐水性団粒分画を行い、SS86の生残部位の同定を試みた。その結果、長期生残部位は土壌団粒内の毛管孔隙深淵部に、短期生残部位は土壌団粒内の毛管孔隙の入口近くに位置していることが明らかになった。さらに、団粒ー団粒間の非毛管孔隙が菌体の死滅部位となっていることも示された。 なお、土壌にシクロヘキシミドを添加して原生動物の活動を抑制すると、SS86の死滅が遅延されたことから、SS86の主要な死滅要因は原生動物の捕食作用であることが見いだされた。毛管孔隙中の生残部位の機能の1つとして、原生動物の接近・捕食からSS86菌体を防御することが挙げられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)