Research Abstract |
チモシ-がまの穂病菌(Epichioe typhina)の代謝する抗菌物質生産能力を高める目的で、培養条件の検討を行なった。その結果,ジャガイモ煎汁にペプトン,麦芽エキス,酵母エキス,スクロ-スを添加した培地を用い,25℃,3週間培養した3液が、チモシ-斑点病菌(Clado sporium phlei)の胞子発芽を最も阻害することが明らかになった。 なお,菌体のアセトン抽出物には活性は認められなかった。 斑点病菌の胞子発芽を指標に、活性物質の精製を行なった。上記3液をエ-テル、次いで酢酸エチルで振り分けると、活性は水部に残っていた。この活性は、酸性(pHI)および塩基性(pH13)溶液中一夜静置することにより完全に失なわれる。しかし、100℃,5分間の加熱ではその失活は僅かであり、熱安定性化合物であることがわかった。活性炭やアニオンおよびカチオン交換樹脂を用いて分画を行なったが、活性物質は溶出せず、吸着あるいは失活が起きた。 セファデックスG25とG50を用い粗活性物を効率良く得た。次いで、ペ-パ-クロマトグラフィ-(nーBuOHーAcOHーH_2O,4:1:2)によって、ドラ-ゲンドルフ試薬陽性の粗活性物質を得た。収量は培養3液1lから600mgであった。高速液体クロマトグラフィ-による純度検索を行なったが、適当な溶媒・カラムがなく、純度は不明である。この物質は20ppmで斑点病菌の胞子発芽を100%阻害する。これを6NーHclで加水分解すると、数種のアミノ酸が検出され、活性物質はペプチドである可能性が高い。
|