魚類の初期発育過程における光受容能の発達と日周リズムの形成
Project/Area Number |
03660189
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小栗 幹郎 名古屋大学, 農学部, 教授 (40023402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 百合 名古屋大学, 農学部, 助手 (50023479)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 仔稚魚 / 胚体 / 松果体 / 網膜 / 光受容細胞 / 外節層板膜 / シナプス / 日周リズム |
Research Abstract |
仔稚魚が日周リズムを確立し、外部の日周変化にその位相を同調させるにはまず光受容器による明暗の識別が不可欠であるが、多くの魚種でふ化時にはまだ眼も完成しておらず、初期発育過程の光感覚機構に関する基礎的知見は極めて乏しい。本研究では、松果体と眼(網膜)の光受容細胞の発生を微細形態および免疫細胞化学的に数種の魚種について調べ、光受容能の発現の発現の時期を比較検討した。魚苗センタ-・水産試験場等より入手したアユ・ヒラメ・ニジマス・クロダイ・マイワシ等の受精卵を室内水槽で飼育し、経時的に採取・固定し、切片作製・免疫反応・染色処理等を施して光顕および電顕で観察・写真撮影した。1.受精後ふ化までの胚体期が比較的長いアユの沈性卵(10日)と、胚体期が短いヒラメの浮性卵(3日)を比較すると、胚体期の長短に拘らず両魚種において、松果体光受容細胞の外節層板膜(光受容装置)は受精後3〜4日で分化し、網膜のそれは5〜6日で認められた。2.胚体期がはるかに長いニジマスの沈性卵(28日)では、15日に松果体光受容細胞の外節およびシナプスの分化が認められ、17日から21日にはその数も増し分化も顕著であるが、網膜のそれは21日ではまだ認められず、ふ化の直前になって(27日)外節およびシナプスの分化が認められた。3.胚体期が同様に短にクロダイとマイワシを比較すると、前者ではふ化後まもなく(受精後53時間)松果体のみならず網膜においても光受容細胞外節の顕著な分化が認められるが、後者においては松果体でのみ認められ(53時間)、網膜光受容細胞の分化は5日以降に持ち越された。このように、クロダイの場合を除けば、いずれの魚種においても松果体光受容細胞の発生は網膜のそれに先立ち、初期発育過程の早い時期における(1)外界の明暗識別、(2)日周リズムの形成あるいは(3)概日リズムの確立等に松果体が関与していることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)