Project/Area Number |
03660205
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fisheries chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大島 泰克 東北大学, 農学部, 助教授 (60111267)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 麻痺性貝毒 / 渦鞭毛藻 / Gymnodinium catenatum / Alexandrium tamarense |
Research Abstract |
(1)交配試験によるGymnodinium catenatumの麻痺性貝毒生産遺伝様式:毒組成の異なる有毒株または有毒・無毒株を交配した。形成したシストから栄養細胞を出芽させてF1株を得て、その麻痺性貝毒生産能をHPLCで分析した。日本とスペイン産の有毒株の組合せにおけるF1株は日本,スペインの両毒組成タイプに分けられ、その出現比率はほぼ1:1であった。また、両タイプともに(+),(-)の交配型が含まれることから母性伝達様遺伝が起きていないことが明らかになった。また、日本産(交配型-)またはオ-ストラリア産無毒株(+)に有毒株をかけあわせた実験でもF1株には有毒株と無毒株が出現し、交配型と毒生産能に関連は認められなかった。以上の結果から毒生産への細胞内共生バクテリアやプラスミドあるいは色素体遺伝子の関与が否定され、毒生産遺伝子は核DNA上に存在することが推定された。 (2)無毒細胞の分布調査および生物群集内の毒組成変動:タスマニア島南部で1987ー1990年に分離した12株、山口県仙崎湾で分離した73株のG.catenatum単藻培養株の毒生産能を調べた。タスマニア産株は2株を除いてC1ーC4を主成分とするよく似た毒組成を示したが、1シストに由来する2株が全く毒を生産しなかった。仙崎産のほとんどはこれまで知られる日本型の毒組成を示したが1株のみが約5%のC3,C4を含むスペイン株と類似した毒組成を示し、異なる系群が1海域に混在する可能性を示唆した。なお、混合培養の播磨灘産株をクロ-ン化した1株は麻痺性貝毒を全く生産しなかった。無毒株の出現確率が極めて低いことから、培養中に起きた突然変異の結果とも考えられる。 (3)麻痺性貝毒生合成酵素系の検索:G.catenatumとAlexandrium tamarenseの燐酸緩衝液抽出液をインキュベ-トし、毒量の変動を調べた。また、透析して得た粗酵素液に精製毒およびAPPSを添加して他成分の生成を追跡した。粗抽出物中の毒量は24時間後に約20%増加し、生合成系がin vitroでも働くことが明らかになった。また、A.tamarenseからは麻痺性貝毒のNーOHの酸化、G.catenatumからは側鎖硫酸付加に働く酵素が検出された。
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