緑膿菌における新キノロン低度耐性化機構の遺伝学的解析
Project/Area Number |
03670207
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
細菌学
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
橋本 一 群馬大学, 医学部, 教授 (90008235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊豫部 志津子 群馬大学, 医学部, 助教授 (90008318)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1991: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 緑膿菌 / 新キノロン耐性 |
Research Abstract |
教室保存の緑膿菌PAOー1を用いて、寒天平板稀釈法で薬剤耐性値(MIC)を測り、この株を種々な濃度の新キノロン剤を含む液体培地中で成育させると、1/2〜1/8MICの濃度でも低度耐性株が容易に得られることがわかった。 PAOー1のMICは0.8μg/mlである。液体培地中ではノルフロキサシン3.1μg/mlで成育が抑えられるが、0.4〜1.6μg/mlの培地で成育すると1夜100倍増殖後MICが8倍の6.4μg/mlにまで上昇する。1/16MICの0.2ug/mlで培養した場合でも5日植えつぐと6.4μg/mlにまでなる。1.6μg/mlの培地中で植えつぐと4日で25μg/mlのMICにまで至る。このような低度耐性値上昇菌の耐性度は安定であり、又βラクタム剤、クロラムフエニコ-ルやアミノグリコシド剤にも耐性の変化が起り、外膜透過性の変化が示唆された。βラクタムとアミノグリコシド耐性値が共に下降したもの はnf×Bタイプの変異と推定され、これは野生株のnf×B遺伝子を共存させることですべての耐性値が元に戻ることで実証された。5日間培養でノルフロキサシンのMICが25μg/mlにまで上昇した例では、他の耐性値は変らず新キノロン耐性値だけが更に上昇した株であり、これはDNAヂャイレ-スの変異が加わったものと考えられた。 このような低度耐性変異株は接種菌量を少くした場合でも高頻度でおこり、MIC以下で培養を続けると始め300個の接種菌量でも4〜8倍の耐性値上昇は容易に得られることがわかった。 臨床株の表現型がnf×Bタイプの株を17株集め、これらに野生型のnf×B遺伝子を共存させるとすべて感受性株に戻ったので、臨床株でも、in vitroの結果と同じであった。新キノロンは経口剤であり、血中濃度が1〜2μg/ml程度なので、不充分な化学療法の結果、現在のような耐性菌の増加がもたらされた経過が以上の研究でよく解析し得たと考える。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)