Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
元来、本研究は虚血性脳血管障害発症の早期予知を目的とした臨床的なProspective studyである。従って米国Framingham研究や本邦の久山町研究などの例からも明らかなように,その成果の結実には相応の期間が必要であるが,ここでは平成3年度中に得られた成果について述べる。 1.これ迄に脳血管障害をはじめとする約1200例の臨床例においてTAT,PIC,Dーdimerなど新しい分子マ-カ-を指標とした凝固線溶系動態評価による,prospective studyを展開中である。 2.急性期脳梗塞例で,末梢静脈血TAT(トロンビン・AT III複合体)とDーdimer,PIC(プラスミン・α_2プラスミンインインヒビタ-複合体)は梗塞サイズを反映したが,凝固線溶系活性化の著明な急性期脳塞栓症のみならず,急性期脳血栓症(小病変例),慢性期脳血栓症でもしばしば増加が認められ,それぞれ血栓性病変局所における凝固線溶系活性化を全身血でとらえうる鋭敏な指標と考えられた。 3.虚血性脳血管障害の発症,再発前に採血しえた例(5例)では4例で明かなTAT,PIC,Dーdimerの増加が認められ(いづれも脳塞栓症例),これら分子マ-カ-は発症および再発の予知に有用であった。 4.慢性期脳梗塞例で経過中に狭心症(1例),急性心筋梗塞(2例)を併発した例では,併発直前の採血で明らかなTATの増加が認められた。 5.先天性プラスミノ-ゲン異常症例の臨床的解析の結果,本症は若年性虚血性脳血管障害になりやすい事,無症状血縁者の一部にも高率に血栓準備状態が認められる事,を明かにした。(13家系につき検討を行った。) 6.諸種凝固線溶系分子マ-カ-測定による血栓症発症の予知は極めて鋭敏であり有用と考えられるが,その特異性の向上,治療への応用が重要な課題と考えられた。(なお本研究では,凝固系活性化増悪時における治療の強化などの配慮はなされている。
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