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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
上皮細胞の中間線維であるケラチンには多くの種類が知られており,表皮角化細胞ではその分化に伴ってケラチン分布が変化する。一方、紫外線照射により角化細胞が角化異常を示すことが形態的に観察されている。われわれは、ケラチンに対する紫外線の影響を各種モノクロナ-ル抗体(PKK_2,CK8.12,KL_1など)を用いて免疫組織学的に検討した。モリモット背部に最少紅斑量(IMED)およびその3倍量(3MED)の中波長紫外線(UVB)を照射し、照射前後の皮膚を経時的に生検して凍結切片をAPAAP法にて観察した。紫外線照射皮膚では,表皮基底細胞型のケラチン(PKK_2およびCK8.12陽性)が有棘層に出現すると同時に,同部位での有棘細胞型ケラチン(KL_1陽性)の消失が認められた。紫外線照射5時間後からケラチン分布の変化が出現し、約1週間後には回復した。また,ソラレン塗布後に長波長紫外線(UVA)を照射(PUVA)した場合にもケラチン分布に同様の変化が認められたが,UVB照射とは時間的経過が異り,照射後2〜10日の間に変化を示した。ケラチン分布がかかる変化を呈する期間は,紫外線あるいはPUVA処置によりDNA合成が促進される期間と一致する。すなわち,表皮角化細胞の増殖あるいは再生を反映する所見と考えられる。角層剥離によりDNA合成を促進させた状態でも同様のケラチン変化が認められた。以上の実験により,従来の形態的観察では確認しえなかった角化に及ぼす紫外線の作用を観察することが可能であった。
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