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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究は呼吸器疾患患者において気道上及の透過性を明らかにし、大気に浮遊する微細粒子に対する気道上及のバリア-としての役目を評価することを最終目標とし,PETによる肺機能診断の臨床試験を行う前段階として水溶性エアロゾルについて検討した。 ウサギに放射性ネブライザ-(Azー741)でFDGを吸入させ,気管及び肺からのFDGの消失をPETで測定すると共に、血中放射能をモニタ-し肺からの吸収を調べ,気道のクリアランス並びに呼吸器系からの吸収が測定できるか検討した。実験は正常ウサギをウレタン麻酔下気管カニュ-レを挿入し,このカニュ-レを介して自然呼吸で5分間FDGを吸入させた。気管流出物が詰らないように頭部を下に25°の角度で固定し,多断層撮影装置(PTー931)で経時的に気管および肺を含む部分の断層撮影と全身のスキャンを行った。測定は30分ごとに120分まで行い,同時に血液のサンプリングを行った。解析は全身スキャンの結果から呼吸器系よりの消失、すなわち血中への吸収を含めた消失を求めた。粘液輪送系の評価は気管と肺を2コンパ-トメントモデルにあてはめ,さらに吸収の速度定数を差し引いて気管と肺のクリアランスの消失速度定数を求めた。その結果吸収による半減期は約6時間,肺からのクリアランスによる消失の半減期は約50時間であり,気管では約15分であった。肺からのクリアランスが遅いのはネブライザ-によって発性したミストの粒子が微細であり,肺のかなりの割合を占める線毛の無い肺胞部分への沈着が多く,消失の中のクリアランスの割合が小さいためと考えられる。また血中の放射能は吸入後20分まで上昇し,その後120分までほぼ一定であった。 以上の結果よりネブライザ-を使用してFDGを吸入させる事により,吸収やクリアランスといった肺機能の診断がPETで可能と考えられ,臨床倫理委員会の許可のもとに臨床への応用を進めたい。
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