Research Abstract |
原発性肺癌の原発巣・リンパ節転移の有無の適確な診断は手術適応,その他放射線,化学療法などの治療方針の決定,患者の予後の推定などに極めて重要である。原発性肺癌のstagingには1969年,Edwardsが ^<67>Gaが腫瘍に親和性を有することを発表して以来,広く用いられているが,縦隔肺門リンパ節領域で偽陽性を呈する例が多くあった。 ^<201>TlはCoxが1976年に肺癌に有用であることを報告して以来,プラナ-像で両者の有用性が検討され ^<67>Gaが優れているとの結論であった。しかしSPECTの出現により通常のプラナ-像で陰性のものも陽性描写することが出来る可能性がでてきた。私共の施設ではエネルギ-の低い ^<201>TlはSPECTを用いることによりその検出能を向上させることが出来ると考え,肺癌の原発巣とリンパ節転移の検出に積極的に取り組み検討して来た。現在までに手術により進展の確認された38症例の原発性肺癌について ^<201>Tlと ^<67>Gaによる原発巣ならびにリンパ節転移の病変描出能を比較検討した所,原発巣では ^<67>Gaのsensitivityはplanar50%,SPECT65%に対し ^<201>Tlはplanar82%,SPECT100%,リンパ節転移に関しては肺門部で ^<67>Ga planarのaccuracy50%,SPECTで50%, ^<201>Tl planar82%,SPECT91%,縦隔では ^<67>Ga planar accuracy73%,SPECT62%, ^<201>Tl planar91%,SPECT88%であり, ^<201>Tlの検出能が優れている結果を得てEur J Nucl Med 1992に採択され掲載予定である。更に ^<201>TlとXーCTのリンパ節転移の描出能を同様に比較した,所CTはaccuracy74%(53/72)SPECT81%(58/72)であり統計的有意差をもって ^<201>Tl SPECTが優れている結果となった。なお ^<201>Tl,MRIの比較については目下症例数が少なく結論をうるに至っておらず,今後検討を行っていく予定である。
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