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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
1.小脳髄芽腫に関する人体病理学的研究 小脳髄芽腫と確認された22剖検例について,その病理形態学的側面を解析した。 〔対象〕22剖検例の内訳は男性16例,女性6例で,男性:女性=2.7:1となり,本腫瘍は男性に多い。死亡時年齢は0.8〜31才,平均10.5才。臨床経過:全経過11年の1例(23才,男性)を除くと,1ヵ月〜3年(平均1年1ヵ月)。 (1)全体の組織像 全剖検例の小脳を含む広範な部位を検索した結果では,腫瘍細胞は小型,円形ないし紡錘形の核細胞質比の高い未分化な細胞からなり,1例(4才,男性)で明瞭な成熟神経細胞への分化が認められた以外,明らかな細胞分化傾向は指摘し得なかった。 (2)腫瘍の広がり(実質内浸潤およびくも膜下播種) 程度の差は認められるものの,全例において局所浸潤に加え,広範なくも膜下播種が存在していた。腫瘍細胞の浸潤と播種の生物学的意義について,シナプス小胞蛋白(神経細胞分化のマ-カ-)とGFAP(グリア細胞分化のマ-カ-)の存在を免疫組織化学的に検討した結果,3例において両蛋白陽性の所見が得られたが,他の症例ではまれに少数のGFAP陽性腫瘍細胞が認められたにすぎなかった。本腫瘍は,本質的には神経細胞およびグリア細胞への分化能を有する腫瘍細胞から構成されていることが示されたが,くも膜下播種については,双方への分化を指摘できない未分化な性格が強く反映されているものと考えられた。 2.小脳髄芽腫に関する実験病理学的研究 ヒト髄芽腫細胞株MNー1を用いて,ヌ-ドマウス皮下での移植実験を継続中であり,現在のところ皮下腫瘍はGFAP陰性である。
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