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¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
誘発耳音響放射(eーOAE)は外耳道において記録される音響現象であり、発生源は蝸牛内の能動的微小機械系振動にあると考えられている。私共の今迄の研究からeーOAEが音響曝露に対する聴器曝傷性の予知に役立つ可能性が示されている。今回はそれを実証する目的で、比較的強大な楽器音の曝露環境にある対象において、聴力損失とeーOAEの関係を調べた。 埼玉県下の2中学校の女子吹奏学部員、H校62名,F校33名,さらにH校の対象のうち追跡調査が可能であった20名を対象として聴力検査およびeーOAEの測定を行った。自記聴力検査では鋭い谷型の損失が10dB以上のものを研究上のdipとして検討した。eーOAEの測定には音響プロ-ブK・3(井上ら,1990)を用い,立上がり1立下がり1ms,持続3msの短音に対する刺激開始後20msの音響応答を加等平均し解析した。eーOAEの持続が延長している場合に,刺激時間の倍すなわち6ms以上であるものを持続性音響放射(cーOAE)とした。1)H校の対象における調査では,dipのある耳(dip【symmetry】耳)発現頻度は59.4%であり、cーOAEのある耳(cーOAE【symmetry】耳)の頻度は42.4%であった。dip【symmetry】耳の頻度はcーOAEの耳で82.0%,cーOAE【.horizontally divided corcle.】で34.8%であった。2)F校の対象においては,dip【symmetry】耳の発現頻度は63.5%であり、cーOAE【symmetry】耳の頻度は56.3%であった。cーOAE【symmetry】耳におけるdip【symmetry】耳の頻度は80.6%,cーOAEー耳では42.9%であった。3)H校の対象のうち,2年後の今回追跡調査が可能であったもののcーOAEのある耳の発現頻度は50%(40耳中20耳),dip耳の頻度は45%(40耳中18耳)であった。前回の調査と較べdipの有無に変化のあったのは4耳であったがそれらの耳のcーOAEには変化はなかった。cーOAEは1耳のみ【.horizontally divided circle.】から【symmetry】に変化したがdipは【.horizontally divided circle.】のままであった。追跡調査の成績から、cーOAEとdipは互いに原因と結果の関係にはないと考えられ、cーOAEが素因として易傷性の予知に役立つであろうことが示唆された。
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