Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
|
Research Abstract |
酵素は,あらゆる生体反応の進行に触媒として関与し,生物の最も基本的な物質である。従って,酵素の作用機構の解明は分子生物学の重要な課題である。本研究では,標的酵素として,ヒトアデニレ-トキナ-ゼおよびボヌクレア-ゼT1(RNase T1)を選び,蛋白質工学およびNMRの手法を組合せて,これらの作用機構を解明しようとしている。ヒトアデニレ-トキナ-ゼにおいては,アルギニン残基が基質の結合および触媒作用に重要な役割を果している。RNase T1においては,ヒスチジン残基が触媒作用に関与している。これらのアミノ酸は,いずれも側鎖に窒素原子を含んでおり, ^<15>NーNMRにより観察できる。これらの酵素を ^<15>N標識した誘導体およびアルギニンやヒスチジン残基をアラニン残基に変えた変異体を作成し,そのNMRを測定して各残基のシグナルの帰属を行い,ついで基質との相互作用を調べることにより,作用の分子機構を明らかにする。 アデニレ-トキナ-ゼについては,遺伝子を組込んだプラスミドを大腸菌に導入し, ^<15>Nー塩化アンモニウムを含む最小培地で培養し, ^<15>N標識した酵素を調製した。このものの ^1Hー ^<15>N相関NMRスペクトルを500MHZ超伝導NMR装置で測定し,13個のアルギニン残基に対応する側鎖のεーNHシグナルを観測することができた。次いで,種を越えて保存されている6個のアルギニン残基(Argー44,97,28,132,138,149)をアラニン残基に変換した変異体を調製し,それらの ^1Hー ^<15>N相関NMRスペクトルを測定し,これらに対応するシグナルの帰属を行った。基質であるMgーATPおよびAMPを加えた時のシグナルの変化を調べ,どのアルギニン残基が結合に関与するかを分析した。 RNase T1についても, ^<15>N標識体の調製を行った。
|