Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
睡眠関連脳内諸核から単一神経活動を記録しながら,これらの部位にiontophoresisでpiperidine(Pip)を作用させ,その作用と作用機序を解析した結果,Pipはmicotine類似のCl^-電流を惹起した。諸種Kineticsの解析およびCl^-電流の薬理学的解析の結果,先に報告したアプリジア単離ニュ-ロンの場合と同様,哺乳動物においても内在性nicotineとしての作用特性を示し,nicotinic receptorーCl^-チャンネル複合体の2つの成分に対して作用する事が明らかになった。さらに,PipによるCl^-電流はacetylcholineによるCl^-電流にくらべて,ピ-ク電流に続く持続的な電流がほとんどないに等しい極めて特徴のあるCl^-電流であること,また,Pipの前処置によってacetylcholineのピ-ク電流のみが抑制されること等,哺乳動物の睡眠関連脳諸核においても矢張りクロライドチャンネルを介する特異的な調節機構が作動することが分った。 上記の研究の過程においてPipが呼吸neuronに対して著明な刺激効果をもたらすことを見出した。既に報告したPipの呼吸興奮作用,分泌促進作用,睡眠誘発作用等との関係を総合的に追求した結果,Pipは睡眠時呼吸障害,気道分泌過多など呼吸ー気道系の機能調節にも重要な役割を果しているという,全く新しい興味ある事実を見出した。即ち,睡眠時,特にREM睡眠時には呼吸neuronの発火頻度は極めて不規則になるが,Pip投与によりかなりの規則性を回復し得ること,睡眠時の肺胞II型細胞からの肺サ-フアクタン分泌は内在性ステロイドの血中濃度と相関した活性変化を示すが,血中Pip濃度も同様の変化を示し,しかもPip自体にも肺サ-フアクタント分泌方進作用が認められること,この分泌亢進作用にもnicotinic receptorーCl^-チャンネルが関与しているらしいことが分ってきつつある。
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