Research Abstract |
履歴の明らかな21種類の栗について官能検査による食味評価を行ない,同時に澱粉を中心にした理化学特性を測定し,これらの関連を主成分分析を用いて検討した。試料として栗は,1989年,1990年に大阪府下で収穫された筑波,銀寄,田尻銀寄,出雲,今北,伊吹,大和,有磨,田尻銀寄,新銀寄,丹沢,霜被である。 1.食味テストは評点法を用い,光沢,香り,甘み,食感,総合の5項目について行なった。1989年の栗では,全ての項目について筑波が一番好まれ,今北が一番好まれなかった。1990年の栗では田尻銀寄が一番好まれ,今北が一番まれなかったが,評価の幅は,1989年に比べて狭かった。 2.茄でた栗の色の明度は35.7〜56.5,色差0〜11.5,栗の可溶性糖は,1.9〜7.7%,グルコ-ス量0〜0.02%,澱粉含量は14.9〜25.9%だった。栗澱粉の水分含量は13.2〜16.6%,平均粒径6.0〜13.9μm,トウモロコシ澱粉粒の分解率を100%とした時のαーアミラ-ゼによる分解性は,24時間反応で66.6〜84.3%,示差熱分析よりの糊化開始温度58〜63℃,ピ-ク温度64〜69℃,終了温度71〜81℃,糊化エネルギ-3.1〜3.7Kcal/g,ヨ-ド吸収曲線よりの青価は0.36〜0.57,最大吸収波長は574〜595nm,電流滴定よりのアミロ-ス含量は18〜23%,ラピッドビスコアライザ-による最高粘度は261〜360,ブレ-クダウン131〜210,セットバック77〜109であった。 3.1,2の結果について主成分分析を行なった結果,粘度特性,糊化終了温度酵素分解が第一主成分を,食味評価の総合および各項目二主成分を構成した。相物係数では,官能検査の総合評価と各項目の間にはいずれも1%の危険率で相関がみられた。また電流滴定によるアミロ-ス含量が高いほど総合および甘みの評価が高く,最大吸収波長が高いほど香の評価が高い傾向がみられた。さらに甘みの評価は可溶性糖が高いほど高かった。
|