長崎原爆の爆心から1km以遠での中性子フルエンスに関する実測とDS86の検証
Project/Area Number |
03680180
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
放射線5生物学
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中西 孝 金沢大学, 理学部, 助教授 (00019499)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 長崎原爆 / 残留放射能 / ユ-ロピウムー152 / 中性子フルエンス / 中性子放射化分析 / DS86 / 原爆線源項 |
Research Abstract |
長崎原爆の爆心から1km以遠の高台で採取した被曝屋根瓦試料からユ-ロピウム(Eu)を化学分離して,原爆中性子誘導放射性核種Euー152(半減期13.2年)の比放射能実測及びこの実測値と計算値(DS86方式による)の比較を行い,長崎原爆被曝物(者)に対するDS86方式の熱中性子フルエンスの計算が妥当か否かを検証した。 今回残留Euー152の比放射能を実測した被曝屋根瓦試料は,江平町368(爆心から1020m,空中の爆裂点から1100m)で採取したもの2検体,及び花園町9ー34(爆心から1060m,空中の爆裂点から1170m)で採取したもの2検体の計4検体である。 各屋根瓦試料の粉末(原試料)1.3〜1.9kgから、我々が既に開発・公表した方法によりEuを化学分離・濃縮してEu濃縮試料を得た。原試料の各100mgとEu濃縮試料の各1mgを用い,中性子放射化分析法でEu含量を定量した結果,原試料中に含まれていたEuの51〜88%(1.2〜1.8mg)が208〜855mgのEu濃縮試料中に回収とれたことが確認された。Eu濃縮試料の内,放射化分析に用いた残り(Eu含量既知)を薄層線源に調製して計数効率既知の条件下でEuー152残留放射能を測定した結果,Eu152比放射能(Euー152/Eu,単位はBq/mg)の値は,被曝直後に補正して,江平町の試料で0.07±0.015,0.055±0.015,花園町の試料で0.069±0.014,0.085±0.013であり,計算値/実測値の比は1.4〜3.6の範囲に入り,DS86方式はEuー152に関する限り長崎の実測値を略々再現できていることが分かった。 従って、広島原爆被曝試料でみられた同様の計算値/実測値におけるかなり小さい値(0.1に及ぶ)は広島原爆に固有のものであり,広島原爆に対するDS86の中性子線源項にまだ再検討の余地が残されていると考えられる。
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Report
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Research Products
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