Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
本研究は,現代中国語の形成に大きな役割を果たした近世語について,周辺言語の一つである朝鮮資料を基礎に具体的な事象を通し,近世語研究の可能性と限界について考察するものである。 平成4年度は前年度に引き続き名古屋蓬左文庫所蔵の『訓世評話』を中心に中国近世語の観点から語彙・語法の研究及び異体字の整理を進め,語彙・語法索引の作成に取り組んだ。また『訓世評話』以外の朝鮮資料については『諺解三網行実図』『二倫行実図』などを用い『訓世評話』と比較対照したが両書の『行実図』は文語だけの記述で中国近世語の解明に有効な資料を求めようとする所期の成果は得られず,『訓世評話』のもつ資料的価値が再認識されたに過ぎなかった。また朝鮮通信使の足跡資料、雨森芳洲の関連文書についても同様で,改めて当時の文言が占める優位性が確認できた。ただ15世紀から20世紀初頭にかけて東アジアにおける中国語の役割を考えるのに有効な「官話」Mandarin概念を文献を通して整理できたのは今年度の研究成果と考えられる。「官話」という語は『重刊老乞大』で用いられそれ以前では『李朝実録成宗14年』にかなり早い使用例が見られる。 また旅費を利用し各地の大学・研究機関で所蔵が報告されている朝鮮資料について閲覧することができ,可能な限り原本に近い形態の資料の複写コピーを収集できたことも本年度の成果であると考えている。
|