産業組織と競合市場(Contestable Markets):理論、応用、政策
Project/Area Number |
03803001
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
一般理論
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮崎 元 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (10229833)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 競合市場 / 参入威嚇 / 再販市場 / 非単一価格戦略 / 構造均衡 / 残余市場 / エッジワ-ス価格循環 / 最適価格 |
Research Abstract |
競合市場(Contestable Markets)は参入威嚇の最も有効な市場である。参入威嚇によって既存企業の経済利潤は霧散し、競合市場の産出量と価格は最適値に近づくと考えられてきた。当研究はこれら通常の結論が単一価格競争の仮定に強く依存し、しかもその仮定の下では産業構造が不安定になることを明らかにした。単一価格の仮定そのものは、再販市場が完全である限り自明のこととして経済分析で許容されてきた。当研究はこの通念を否定し、再販可能な競合市場においても、企業が利潤追求戦略として非単一価格を採用し得ることを指摘した。既存企業は低価格で需要の大半を満たすことによって参入を阻止し、残余需要の市場において高値を付けて寡占利潤を得ようとする。既存企業は非単一価格戦略を適用して、参入威嚇から安全な構造的安定を確保することができるが、参入阻止から生ずる利潤をめぐって既存企業間で熾烈な価格競争を展開することになる。つまり、参入余地のない残余市場の占有率をめぐってエッジワ-ス価格循環が生じ、戦略的不均衡の状態が続くことになる。このような寡占構造を「エッジワ-ス循環クラブ」と当研究では名付けた。当研究によって、参入威嚇と既存企業間の戦略的な相互作用からなる産業均衡が、寡占的構造の安定性と価格戦略の不安定性の両面を持つことがわかった。しかも、競合市場の均衡構造は最適でないこともわかった。例えば、規模の経済が顕著な場合には、一企業(つまり自然独占)による生産が最適であるが、均衡構造は複占となることもある。これらの新しい結論は、規制緩和政策や最適価格政策が、単一価格仮定の下における分析と大いに異なるべきであることを示唆している。今後の研究では、制度上の要素を取り入れた競合市場の応用分析に移ることを課題としている。
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Research Products
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