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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
1.熱水噴出孔周辺のフジツボ類は太平洋のみから知られ,大西洋,インド洋などからは知られない。特に西太平洋に非常に多い。 2.現在までに得られた熱水に固有のフジツボは,フジツボ類の4つの亜目のうち3つの亜目,エボシガイ亜目,ハナカゴ亜目そしてフジツボ亜目である。(1)エボシガイ亜目のNeolepas属は西太平洋の沖縄トラフに2種,北フィ-ジ-海盆に1種,ラウ海盆に1種,東太平洋の東太平洋海嶺に1種,イ-スタ-島沖に1種である。(2)ハナカゴ亜目のNeoverruca属は全て西太平洋で,沖縄トラフに2種(?),海形海山に1種,マリアナ背弧海盆に2種,北フィ-ジ-海盆に1種,ラウ海盆に1種である。(3)またフジツボ亜目のEochionelasmus属の1種は北フィ-ジ-海盆とラウ海盆である。(4)それらは全て新種で,各分類群の中でも最も原始的と評価される。 3.それらの後期個体発生が調べられ,最初に殻板の対のS(scutum)とT(tergum),そしてR(rostrum)の計5枚の殻板が形成されるという共通性が明らかになった。ハナカゴ亜目やフジツボ亜目の熱水フジツボ類は筋肉の柄を持つ段階(個体発生のエボシガイ亜目段階)を経て,最終的にそれを失って直接石灰質の殻板が付着対象物に固着するという系統発生と同様の個体発生を経ることが判った。 4.以上のことを参考に3亜目の進化を検討すると,エボシガイ亜目からハナカゴ亜目およびフジツボ亜目が派生したとする系統が推定され,それは現在知られる化石記録と良い一致を示す。 5.また沖縄の潮間帯にはエボシガイ亜目の原始的なフジツボ類二種類(Ibla属およびLithotrya属)が生息していることが判った。それらは原始的であるが,殻板の数が深海熱水フジツボのそれよりも少なく,二次的な減少によって生じたものと考えられる。
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