Project/Area Number |
03805078
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
加藤 昌子 奈良女子大学, 理学部, 助手 (80214401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 導電性金属複合体 / BEDTーTTF / テトラシアノ白金酸 |
Research Abstract |
ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン(BEDTーTTF)の部分酸化ラジカル塩は、二次元有機超伝導体となることで知られている。本研究では、i)アニオン層も導電性をもつ、ii)アニオンとカチオンの相互作用がある、より高次の新しい導電性金属複合体を構築する為に、種々のアニオン性金属錯体とBEDTーTTFとのラジカル塩結晶の作製を行った。アニオン錯体として、一次元性金属となるテトラシアノン白金酸イオンを用いて、通常の電解結晶化法により、黒色金属光沢を持つ(BEDTーTTF)_4[Pt(CN)_4]を得た。このラジカル塩には、同一組成に対してさまざまな結晶相が存在し、新たに二種の結晶構造をX線解析により明らかにした。その結果、BEDTーTTF二次元層の配列を大きく異なることがわかった。第一の相は、BEDTーTTFの積層したカラムが、隣接するカラムと約45゚傾いて並んだ構造を持つ。分子間のS…S原子の接触はカラム方向ではなく、カラム間に密接にあることが認められた。第二の相は、BEDTーTTFのカラム状の積層はなく、分子面がほぼ水平に並んだシ-ト状構造をとっている。[Pt(CN)_4]^<2ー>は、両相ともBEDTーTTF層間に配位平面がBEDTーTTF分子面に対してほぼ垂直な状態で配向している。また、ビス{(Z)1,2ージシアノエチレンー1,2ージチオラト}ニッケル(III),[Ni(mnt)_2]^ーをアニオン錯体として用いることにより、1:1組成を持つラジカル塩(BEDTーTTF)[Ni(mnt)_2]を得た。現在、X線構造解析中である。これらは、常温では数S cm^<ー1>の金属的な伝導性を示すが、低温で絶緑体転移を起こすことがわかった。 さらに、類似の平面四配位型錯体の配位子の修飾、芳香環を含む配位子の導入等により、電荷の調節、アニオンの積層化、あるいは、アニオン間およびBEDTーTTF層との相互作用を発現させる試みを行っている。また、モリブデンースルフィドクラスタ-とのラジカル塩作製の試みも進行中である。
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