Research Abstract |
歯根膜に多く分布している微小血管は,歯に矯正力が加わると顕著な変化を示す。申請者は,これまで,hamster頬袋を用いて,矯正力に類似した圧迫力をin vivoの組織に加えた場合,白血球,血小板が微小血管内皮細胞に接着することを観察していたが,本年度はまず,刺激の程度を微妙にcontrolできる装置を開発した。そして刺激の強弱により,如何なる白血球が多く反応するかについて同様の実験系を用い,透過型電子顕微鏡による観察を行なった。その結果,血流は停止するが出血までには至らない強さの圧迫力においては,その刺激を除去した後,血管内皮細胞に生じたgapに好中球を観察した。一方,血流を停止させないが,流速に変化が生じる程度の刺激においては,刺激中に,単球がpostーcapillary venuleの内皮細胞に接着している像を観察した。現在はこの反応を生体で観察できるよう実験装置を改良し,微小血管の反応を高倍率で,血球の動きも含めて観察できるようになったため,刺激方法をおよび,その実験条件について検討中である。今後,この機械的刺激が,如何なる生化学的情報を介して異なる白血球を反応させているかについて,検討する予定である。 一方,これら機械的刺激によって誘導された白血球が,如何にして骨吸収に関係するかについて検討すべく,in vitroの系の開発を行なった。まず,骨吸収に直接関係している破骨細胞の活性を如何に定量するかについて検討中である。マウス頭頂骨を小片にして培地αーMEM中で7日間程培養すると,out growthした細胞中に多核巨細胞が観察される。この細胞をSEMで観察すると偏平な細胞形態の辺縁に薄い膜様構造物が観察された。現在この破骨細胞様細胞のSEM像の形態変化を1つの指標として,各種白血球から出てくるfactorと破骨細胞との関係について,検討しているところである。
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