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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
非線形偏微分方程式論の最重要課題は弱解の正則性の問題であろう.特に弱解の一意性が得られていない方程式に関しては,正則である解のクラスを確定することが問題となる.微分作用素は変数について局所的に定義されるものであるから,関数uが考える領域のある点の周りで微分方程式を満たしていれば,その点のごく小さい近傍でuの正則性が得られることが期待される.微分方程式の解がこのような性質をもつとき,内部正則性が成り立つという.例えば,Laplace方程式,より一般には係数が有界である線形楕円型方程式に関しては,任意の弱解について内部正則性が成り立つ.Navier-Stokes方程式の弱解に関しては内部正則性の問題は極めて難解である.実際,方程式が非線形連立系であることに加えて,ひとつの未知関数である圧力が主要な未知関数である速度場の自乗について領域全体の積分で表示されることが大きな障害となっている.従って,たとえ弱解の特異点近傍の挙動を制御しても,その特異点が除去可能かどうかは,方程式を満たす領域の大域的性質をも考慮しなくてならない複雑な問題となる.本研究では,2/s+3/r=1,3【less than or equal】r<∞を満たすs,rに対して,正定数ε_0が存在して,任意の領域Ω×(0,T)におけるNavier-Stokes方程式の弱解uが条件‖u‖_<L^s_W(t_0,t_1;L^r_W(D))>【less than or equal】ε_0を満すならば,uはD×(t_0,t_1)において正則であることを証明した.ただし,D⊂⊂Ω⊂R^3,0<t_0<t_1<T,L^r_Wは弱L^r-空間を表す.ここで,弱解uに対しては,いかなる境界条件も課す必要がないことに注意されたい.この結果により,既存の除去可能特異点定理を一般化することに成功した.証明方法は領域Ωの近傍に台を持つ切り落とし関数を用いて,問題を全空間R^3における方程式に帰着させる.その際,低階の摂動項をもつ熱伝導方程式の解に対する最大正則性定理が重要な役割を演ずる.
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