Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (30115886)
深尾 昌一郎 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (30026249)
竹内 謙介 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (00107450)
上田 博 北海道大学, 理学部・地球物理学教室, 助教授 (80184935)
住 明正 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (10179294)
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Research Abstract |
気候の形成維持のメカニズムとその変化のダイナミクスを解明することは,地球環境の変化を予測するための不可欠の前提である.気候の形成と変動の機構を解明することを目的として国際的な協同研究が進んでいるが,その中で,熱帯域西太平洋にある世界最高温の水塊が地球全体の気候に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた.しかし欧米諸国から遠く隔れていることもあって,必要な観測設備はこれまで全く投入・整備されないままであった. そこでこの研究課題では,西太平洋域の暖水プ-ルの形成維持機構,その上の大気における積雲対流の振舞および大気波動の発生機構を理解することを目的として,南北には日本列島からインドネシア列島までの西太平洋領域を中心に,鉛直には海洋から中層大気に及ぶ総合的観測を実施する.具体的には,まず項目(a)として大気・海洋相互作用の研究(海洋〜下層大気領域の観測)を,「乱流」(<1時間;船上での渦相関・微細構造プロファイラ-(MSP);海面から大気への輸送過程),「雲クラスタ-」(数時間〜1ヶ月;航空機・ドップラ-レ-ダ-・雲観測ゾンデ;雲の組織化過程),「ENSO」(>数ヶ月;係留ブイ・投棄型水温計(XBT)・超音波流速計(ADCP)・放射計・陸面(アンデラ-);大気・海洋・陸面系の長期モニタリング)に分けて行う.また項目(b)として大気対流・波動の発生機構の研究(下〜中層大気領域の観測)を「大気境界層」(地表〜数km高度;境界層レ-ダ-;大気擾乱源),「下層自由大気」(地表〜35km高度;MUレ-ダ-・RASS・ラジオゾンデ;対流圏→成層圏擾乱侵入過程),「中層大気」(55〜90km高度;MUレ-ダ-・電波干渉計・流星レ-ダ-・分反射レ-ダ-;成層圏→中間圏擾乱侵入過程)に分けて実施する. 第2年度である本年度は分担者間・他課題との打合せならびに補助人員雇用を行い(旅費・謝金),主要な成果を2回の研究集会(国際シンポジウムとして別途申請)で発表した.項目(a)では,引続き機器の整備を計ると(ADCP,渦相関,MSP,アンデラ-気象計)同時に、本観測に向けての予備観測を,信楽にあるMUレ-ダ-観測所,並びに,マヌス島で行った.前年度から始めた日射の観測,及び,XBT観測は,引続き継続した.また,本観測に向けての国際協力体制を強化するために,「第1回日韓国TOGAーCOAREワ-クショップ」を開催し,韓国の研究者を日本におけるレ-ダ-観測に招待するなど来年度に向けての国際協力体制を確立した.さらに,タウンズビルで行われる「本観測における打合せ会議」に参加し最後の調整を行った(設備備品費・消耗品費・旅費・謝金・その他).また項目(b)では,境界層レ-ダ-試作品を完成させて国内における試験観測を行い,大気擾乱解析法・電波干渉計の開発ならびにRASS・流星レ-ダ-の改良を継続し,併せて次年度に実施するインドネシアにおける集中観測実施のための現地および諸外国での打合せ等を行った(設備備品費・消毛品費・旅費).
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