真核細胞染色体複製開始の細胞周期による制御機構の研究
Project/Area Number |
04044114
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | Joint Research |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉野 明雄 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (90231737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MORRISON Ala National Institutes of Health, National I, 室長
JOHNSTON Lel National Institute for Medical Resarch L, 部長
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Project Period (FY) |
1992 – 1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥26,200,000 (Direct Cost: ¥26,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥9,200,000 (Direct Cost: ¥9,200,000)
Fiscal Year 1993: ¥7,000,000 (Direct Cost: ¥7,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
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Keywords | 染色体複製開始 / 細胞周期 / 出芽酵母 / CDC7-DBF4複合体 / DNAポリメラーゼ / チェックポイントコントロール / multicopy suppressor / ORC複合体 / 真核細胞染色体複製 / CDC / 蛋白リン酸化酵素 / DNAヘリカーゼ / 一本鎖DNA結合蛋白 / DNAポリメラーゼα-プライマーゼ |
Research Abstract |
出芽酵母染色体DNA複製開始を細胞周期に依存して制御しているCdc7蛋白リン酸化酵素はそれ自体ではその活性を示さないが細胞周期によって特にG1/S期境界時に遺伝子発現が制御されているDbF4蛋白と複合体を形成することにより活性化される。一方Dbf4蛋白はある種の蛋白(おそらくは複製開始部位に特異的に結合しているORC複合体)を介して複製開始部位に特異的に結合することが本研究の分担者であるJ.Diffleyによって明らかにされた。従って染色体DNA複製開始時には、Cdc7-Dbf4複合体が複製開始部位に特異的に結合しているORC複合体を活性化すると同時にその他の複製開始に必要な蛋白(Mcm蛋白群及びCdc6蛋白など)と複製開始部位で大きな複合体を形成し複製を開始すると考えられる。このように複製開始制御に重要な働きをしているCdc7-Dbf4蛋白リン酸化酵素複合体は、また複製反応に必須はDNAポリメラーゼI(α)の触媒サブユニットである180-KDa蛋白及び-本鎖DNAに特異的に結合する蛋白RF-A複合体の70KDaと34KDaサブユニット蛋白を特異的にリン酸化することが明らかになった。特にこの内でこのリン酸化酵素によるリン酸化によってDNAポリメラーゼIの活性が制御することが明らかになった。また、Dbf4蛋白と相互作用していると考えられる新しい遺伝子を同定する目的で温度感受性変異dbf4-1を多コピーで抑圧する遺伝子を単離した。このうちMSD3と名付けた遺伝子は約分子量9万の蛋白をコードし、実際Dbf4蛋白と直接相互作用しており、DNA複製に必須であることが明らかになった。また、この新しい遺伝子産物は細胞周期M期を負に制御しているcheckpoint制御機構に必須であることも明らかになった。一方、染色体DNA複製に必須で、発現が細胞周期、特にG1/S期境界時に最大になる遺伝子の1つにDNAポリメラーゼII(ε)をコードするPOL2がある。この遺伝子の温度感受性突然変異株を多コピーで抑圧する遺伝子(multicopy suppressor)を単離した。この遺伝子(DPB11)はDNAポリメラーゼII(ε)のサブユニットと考えられるDpb11蛋白をコードしていることが明らかになった。このDpb11の温度感受性突然変異株を単離し、この株を非許容温度にすると、染色体DNA複製が非常に阻害された。一方、野生株では複製が完了しないと次の細胞周期過程M期に移行しない制御が働いているが、変異株では染色体DNA複製が完了していないにもかかわらず野生株のようにM期に入り、細胞分裂を起こすことが明らかになった。しかしその結果として染色体DNAの娘細胞への不均衡な分配が起こり急速な細胞生育率の低下が見られた。更にDNAポリメラーゼII(ε)のC-末端部分に変異を持つ株でもdpb11変異株と同様の表現型を示すことからDNAポリメラーゼII(ε)のみならずDpb11蛋白が染色体DNA複製に必須であると共に細胞周期のチェックポイントコントロール機構に直接関与していることを示すものであり、真核生物染色体DNA複製と細胞周期との非常に厳密で複雑なネットワークが存在することを示している。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)