ハウスキーピング遺伝子の転写制御-Na,K-ATPaseα1サブユニット遺伝子の発現調節
Project/Area Number |
04044142
|
Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | Joint Research |
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
川上 潔 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10161283)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROBERT Roede ロックフェラー大学, 生化学・分子生物学研究室, 教授
鈴木 由利子 自治医科大学, 医学部, 講師 (50211610)
|
Project Period (FY) |
1992 – 1993
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
|
Budget Amount *help |
¥4,900,000 (Direct Cost: ¥4,900,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
|
Keywords | Na,K-ATPase / コアプロモーター / 転写制御因子 / ハウスキーピング遺伝子 / サウスウェスタンクローニング / 試験管内転写 / Na、K-ATPase / 試験管内転写系 / DNaseIフットプリント法 / メチル化干渉法 / イニシエーター |
Research Abstract |
Na,K-ATPaseα1サブユニット遺伝子は、どの組織にも発現し、生存に必須なハウスキーピング遺伝子のひとつである。本遺伝子の発現には、転写開始点の上流-102から-61間のARE領域及び-49から-61間のSp1結合配列が、どのタイプの細胞においても正の制御領域として必要であること、またARE領域には、どの細胞にも発現する転写因子と、細胞及び組織特異的因子とが複数個結合し、そのレパートリーが細胞や組織によって変化することが示唆されている。また、細胞周期によってもそのレパートリーが変化することが明らかになってきた。同定された結合因子の中には既知のATF-1やHEBの他、いくつかの未同定の因子が存在するので、それらの同定、精製、cDNAクローニングを行った。また、これら上流域の因子群は、正しい転写開始点からの転写を司るコアプロモーター因子群と相互作用し発現調節を行うと考えられるので、本遺伝子におけるコアプロモーターエレメント及び因子の同定もあわせて行うことを研究目標として設定した。 (1)上流域因子の同定と精製、cDNAクローニング ARE領域に結合する因子をゲルシフト法で解析すると、各細胞タイプに共通するC1,C2と、筋肉やHeLa細胞で見られるC3が観察できる。これらの複合体を形成する因子を同定,精製する目的で、HeLa細胞の核抽出液からWGAカラムや特異的オリゴヌクレオチドカラムを用いて精製を行い、最終標品として分子量が約100Kdaの蛋白質を得た。この蛋白質は、Na,K-ATPaseα1サブユニット遺伝子の試験管内転写を約4倍活性化する。また、精製標品の部分アミノ酸配列に基くオリゴプローブを用いたcDNAクローニングによって部分cDNAを得た。大腸菌で発現させた当該蛋白質に対する抗体によって、ゲルシフトC3複合体が形成阻害を受けるので、当該cDNAはC3因子に対するcDNAであることがわかった。今後は、完全長cDNAの単離及び構造と機能の解析を行う。 また、ARE領域をプローブにサウスウエスタンスクリーニングにてHeLa細胞cDNAライブラリーを検索したところ、既知の転写因子であるHEBと、我々が新たに同定したAREB6の両クローンが単離できた。これらの因子は、細胞タイプや発現量によってNa,K-ATPaseα1サブユニット遺伝子の転写を正または負に制御することが共形質転写実験によって示された。AREB6はN末側4本及びC末側3本のZnフィンガークラスターをDNA結合ドメインとして保有し、さらに両クラスターの間にはホメオドメインが存在する興味深い構造をもった転写因子である。現在、これらDNA結合ドメインの結合至適配列及び、転写活性化/抑制化ドメインを検討中である。 (2)コアプロモーターエレメント及び因子の同定 本遺伝子のコアプロモーター領域を解析するために、HeLa細胞株抽出液を用いて試験管内転写実験を行った。その結果、5'上流域を-102まで保持した遺伝子は効率良く転写されるが、-61ないし-49まで保持した遺伝子では、核抽出液を用いた転写は観察されなかった。核抽出液をP11カラムで分画した画分を、再構成して転写を行うと、α-アマニチンに抵抗性の転写産物が観察された。即ち、核抽出液を用いた場合にはARE配列依存性のPolIIによる転写が、また再構成画分を用いた場合には、コアプロモーターのみでのPolIIIによる転写が起こっていると考えられる。両Polymeraseによる転写に必要なエレメントをリンカー置換変異で解析したところ、TATA様配列及び転写開始点を含むイニシエーター配列が必要であることがわかった。点突然変異による解析からは、PolIIがTATA様配列全領域にわたって必要なのに対し、PolIIIでは、TATA様配列の3'側半分が必要であることがわかった。現在PolIIとPolIIIによる転写がいかにして切り替えられるのかを解明するために、PolIII特異的阻害剤であるtagetinを用いた解析を行いつつある。
|
Report
(2 results)
Research Products
(19 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Publications] Kamitani,T.,Ikeda,A.,Yamamoto,K.,Hara,Y.,Kojima,T.,Medford,R.M.and Shimda,K.: ""Regulation of Na,K-ATPase gene expression by thyroid hormone in rat cardiocytes."" Circulation Res.71. 1457-1464 (1992)
-