Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野田 裕治 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10165128)
島 礼 国立がんセンター研究所, 室長 (10196462)
田村 眞理 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (20124604)
武田 誠郎 広島大学, 医学部, 教授 (40030853)
柳田 充弘 京都大学, 理学部, 教授 (80025428)
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Budget Amount *help |
¥17,700,000 (Direct Cost: ¥17,700,000)
Fiscal Year 1992: ¥17,700,000 (Direct Cost: ¥17,700,000)
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Research Abstract |
プロテインホスファターゼは複数の分子種より成り,それぞれ各分子種により臓器分布・細胞内局在が異なり,また転写・翻訳・翻訳後の各段階で多元的に調節されていることが明らかにされた.また発癌過程・原発癌・腹水肝癌・再生肝で本酵素の特徴的な遺伝子発現パターンが示された.しかしこのようなmRNAレベルの変異は,必ずしも直ちに酵素活性レベルに反映されておらず,本酵素活性が本酵素蛋白自身のリン酸化や他の新たな制御サブユニットにより翻訳後の段階で調節されていることも判明した.本酵素の癌性変異の大きな特徴のひとつはPP1αmRNAレベルの特異的な上昇であるが,現在その意義について解析が進められている.また相次いで本酵素の新分子種が発見された.本酵素遺伝子の構造の解析・染色体地図上の同定もなされた.特にチロシンホスファターゼについては,新分子種PTPGI,SH-PTP-3の発見とともに,各分子種の遺伝子発現の検索がなされ,臓器や癌腫の違いにより発現レベルが著しく異なり,例えばLARは普遍的に存在し,HPTPδは造血器に比較的限局して存在した.また多くのイソホームに対する特異抗体が作製され,各イソホームの分別定量が可能となった.それらのイソホームについてトランスフェクションにより,発現された蛋白の機能の解析が進展した.また分裂酵母で,核内制御因子が見いだされ,本酵素分子との相互作用の機構や基質特異性の変化について明らかにされた.本酵素の核内分子が,細胞周期の特定の時期に一過性に活性上昇することも明らかになった.このように,多角的なアプローチにより,本酵素に対する新しい知見が集積し,癌の発症や癌細胞の形質との関連,とくに細胞増殖やその制御との関わりについて,全体的に把握ができるようになった.
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