抗癌剤の腫瘍組織へのターゲッティングを目指した組織分布機構の速度論的解明ーP糖蛋白の関与する輸送解析ー
Project/Area Number |
04152040
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 雄一 東京大学, 薬学部, 教授 (80090471)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 洋史 東京大学, 薬学部, 助手 (80206523)
|
Project Period (FY) |
1992
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Keywords | P-糖蛋白 / 肝輸送 / 胆管側膜 / 血液-脳脊髄液関門 / 脈絡叢 / ビンクリスチン |
Research Abstract |
抗癌剤の腫瘍組織および正常組織への分布性の差異を検討し、腫瘍組織への選択的ターゲティングを図るため、モデル化合物としてビンクリスチン(VCR)を用いて検討を加えた。VCRの組織分布には、P-糖蛋白が関与することが考えられたため、この蛋白が発現している正常組織として肝(胆汁排泄)に着目し、速度論解析を行った。ここで、肝はVCRに主要な処理臓器である。また、副作用発現に関与しうる組織として中枢神経系に着目し、以下の検討を加えた。 肝灌流系を用いた実験の結果、VCRは胆管側膜を介して濃縮的の排泄されることが示された。ラットをフェノチアジン処理して、胆管側膜上のP-糖蛋白量を増大させ、処理ラットから胆管側膜小胞を調製してVCR輸送実験を行ったところ、VCR輸送は、処理により亢進することが示された。また、in situおよびin vivoのVCR胆汁中排泄を速度論解析したところ、処理ラットにおいて、VCRの胆管側膜を介した輸送が亢進することが示された。以上の結果から、胆管側膜上に存在するp-糖蛋白は、正常動物におけるVCRは胆汁排泄に大きく関与することが示され、またin vitro情報から組織内分布を構築することにも成功を修めた。 また、VCRの中枢分布は、血液脳脊髄液関門における輸送系による影響を受けるため、この関門を形成する脈絡叢上皮組織を単離し、in vitroにおけるVCR輸送実験を行った。その結果、VCRは脈絡叢におけるエンドサイトーシス等の機構により、中枢神経系から汲み出されることが明らかとなった。更に、速度論解析の結果、本in vitro実験の結果を組織レベルに外挿することにも成功を修めた。 以上、in vitro情報に基づき、腫瘍組織と正常組織の差異という観点から、抗癌剤の各組織内挙動を予測することに成功し、本研究の目的が達成された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Watanabe,T.,Sugiyama,Y.,Miyauchi,S.,Sawada,Y.,Iga,T.,Inaba,M.,Hanano,M.: "Kinetic ahalysis of hepatobiliary excretion of Vincristine in pertusea rat livor:Possible toles of P-glycoprotein in Biliary excertion of Vincvistine" J.Hepatol. 16. 77-88 (1992)