チミジンキナーゼ遺伝子導入腫瘍の化学的除去を利用した腫瘍細胞免疫原性の研究
Project/Area Number |
04152064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗林 景容 京都大学, 医学部, 助手 (10064578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 秀夫 京都大学, 理学部, 助教授 (90025429)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
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Keywords | チミジンキナーゼ / 腫瘍 / 免疫原性 / 遺伝子導入 / ガンシクロビル(GCV) / アシクロビル(ACV) |
Research Abstract |
(1)腫瘍細胞としては、同系マウスに接種したとき排除されず進行性増殖を示すSC115(DSマウス由来乳ガン細胞)およびB6UV4,1(C57BL/6マウス由来紫外線誘発腫瘍)を用いた。この2種の腫瘍細胞に、HSV II型チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をpBR322のリコンビナントプラスミドpGR18を用いて燐酸カルシウム法により導入した。 (2)TK遺伝子導入株から、抗ウイルス剤ガンシクロビル(GCV)に高感受性のクローンを複数個樹立し、in vitroでの各種抗ういるす剤感受性を解析した。その結果、代表的なクローンの50%増殖抑制を起こす薬剤濃度を親株/遺伝子導入株で比較すると、アシクロビール(ACV)についてはSC115では100μg/ml、5ug/mlB6UV4.1では10μg/ml/0.2μg/mlであり、GCVについてはSC115では100μg/ml/0.02μg/m、B6UV4.1では10μg/ml/0.005μg/mlであった。この結果から、ACVに較べGCV有効域が広く、かつ低能度でTK遺伝子導入腫瘍の増殖を抑制することが伴った。BVDU(bromovinyl deoxyuridine)はGCVと同程度に有効であったが、I型HSV治療薬であるBV-araU(arabinofuranosyl bromovinyl uracil)は無効であった。 (3)TK遺伝子導入腫瘍を同系マウスに皮下接種後5日目或いは腫瘍径が10mmに達した時点から、GCV(1mg以上/マウス)を7日間連続投与することにより、腫瘍を完全に消失させることができたが、同様の処置は親株に対しては全く無効であった。GCVによりTK遺伝子導入腫瘍を排除したマウスでは、接種親株細胞を拒絶し特異的CTLが誘導されるなど、T細胞を介した特異的免疫応答が成立していた。 (4)SC115は通常IFN-γ遺伝子導入・発現により造腫瘍性が低下する。しかし、なかには造腫瘍性を保持したままのクローンが存在するが、このようなクローンに追加してTK遺伝子を導入することにより、GCV投与により生体から除去することが可能であることが確認された。従って、本実験系はサイトカイン遺伝子導入によるがん治療モデルにおけるフェイルセイフシステムとしても利用できると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)