Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
|
Research Abstract |
この研究は,伊勢湾沿岸の自然環境や外力条件の変遷を踏まえて,伊勢湾台風による高潮災害の歴史的位置付けを行らかにし,統計的手法や数値シミュレーション手法を用いて,高潮災害発生のメカニズムを解析するとともに,環境と調和した対策手法のあり方を検討した.得られた成果は次の通りである.1.名古屋港及び鳥羽港を対象として,験潮記録の確率統計処理を行った.棄却検定の結果,名古屋港では,最高潮位は伊勢湾台風時の資料は棄却できないことがわかったが,棄却しないと最も適合性のよい対数極値分布A型であっても,よく当てはめられないことがわかった.2.高潮による湾水の共振メカニズムには不明の点が多いが,任意形状の港湾に対して適応可能な解析方法を新しく見出すことに成功し,長方形湾に対して具体的に湾水応答を計算するとともに,透過潜堤を2列配置したときの波浪制御法を実験・理論の両面から提案した.3.伊勢湾における台風による高潮特性を明らかにするため,高潮の数値シミュレーションモデルを開発し,その精度を伊勢湾台風及び9019号台風による潮位の実測データとの比較によって検証した.また三重県長島町を対象とした氾濫シミュレーションから堤内地の建物,地勢条件の影響を検討した.4.伊勢湾を共有する愛知県と三重県における高潮災害を調べた結果,過去1200年の間に愛知県は4〜7回,三重県は5回,比較的大規模(死者100人以上)な災害が発生していることがわかった.5.対策工法の一つとして,捨石潜堤をとりあげ,異常時波浪に対する対波安定性を被覆部材の移動限界より検討した.そして,水理実験によって被覆部材の安定重量の算定式を被覆部材の設置位置の関数として提案した.
|