環境変異原によるフリーラジカルの産生とその突然変異スペクトル
Project/Area Number |
04202206
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 和生 東北大学, 理学部, 助教授 (20093536)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤阪 進 大阪府立公衆衛生研究所, 労働衛生部, 主任研究員 (10158719)
|
Project Period (FY) |
1992
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | 環境変異原 / 水酸ラジカル / 過酸化水素 / 脂質過酸化反応 / pZ189 / 突然変異の特異性 / トランスバージョン / トランジション |
Research Abstract |
活性酸素種は、水酸ラジカルを発生し、DNA損傷を作り、致死や突然変異の原因となることが知られている。近紫外線、x-線、過酸化水素等がよく知られた例である。これらの変異原は、また細胞膜脂質に作用し、脂質過酸化反応を引き起こし、アルデヒド類、エポキサイド類等の変異原物質を作る。過酸化水素による突然変異の特異性と、脂監過酸化反応による変然変異の特異性とを、pZ189プラスミド上の変異を直接シーケンスする事で比較する事を目的とした。その結果、過酸化水素は、塩基置換型変異を多く誘発し(全体の85%)、そのうち37%がGC→TA、40%がGC→CGのトランスバージョン型変異であった。過酸化水素処理では、水酸ラジカルが形成され、DNA中のグアニンが水酸化され、それがトランスバージョン型変異の原因となるであろうと考えることができる。一方肝ミクロゾームから抽出したリポゾームにNADPHを加え、引き起こした脂質過酸化反応では、85%以上が塩基置換型変異であり、GC→TAが15%、GC→CGが34%であった。同時に、GC→ATのトランジションも24%と高い頻度であった。脂質過酸化反応で生じるエポキサイド類が、GC→ATの原因であると考えることができる。脂質過酸化によるトランスバージョン生成の原因は不明であるが、GC→CG変異が多く生じることは、今までに記載がなく、この機構の研究が残された大きな問題である。脂質過酸化反応及び、過酸化水素による突然変異の特異性を明らかにしたのは、本研究が世界で始めてである。今後は、グアニンの水酸化修復遺伝子(mutM,mutT,mutY)の欠損株を用い、過酸化水素や脂質過酸化反応にともなう変異の特異性を調ると、より詳細に突然変異の機構を明からにすることができるものと期待される。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)