Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
淡水藻類の一種であるラン藻Anacyshs nidulansを試料に用い,カドミウム,亜鉛,水銀,銅などの重金属イオンストレスによりその体内に誘導されるメタロチオネイン(MT)を生体応答の指標として,MT誘導挙動と生育環境との相関を検討した。具体的には,装置としては数年来開発してきた高速液体クロマトグラフィー/誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS/HPLC)を使用し,培地のpH,光,温度の効果,および複数の重金属イオンの共存効果を調べた。単独の重金属イオンストレスとする際は主にカドミウムを用いた。結果を以下に記す。 (1)pHの効果 pH7および9においてCd-MTは約2時間あたりから誘導が始まり,16時間程度でほぼ定常状態となった。pH5では24時間以降にMT量が低下した。これはラン藻細胞壁における金属交換容量が減少し細胞内部へのCd取り込みが抑えられたためと考えた。 (2)光の効果 蛍光灯下(1000lx)と暗所を比較すると,後者でのMT誘導量は前者の約1/5であった。 (3)温度の効果 5゚C,23゚C,35゚CにおけるMT誘導量の定常値は,相対値として0:1:0.3程度となった。従って23゚C前後が最適と考えられる。以上(1)〜(3)より,MT誘導と光合成活動とが密接な関連にあることが強く示唆される。 (4)重金属イオンの共存効果 重金属イオン各々を個別に与えた場合と複数を共存させた場合ではMT誘導に顕著な差が認められた。MTへの結合強度はHg>Cd>Cu>Znと判断された。
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