Project/Area Number |
04202234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 昇 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (50093307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴坂 三根夫 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60226165)
田中 歩 京都大学, 理学部, 助手 (10197402)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ミズゴケ湿原 / 都市化 / 集水域 / 保全 / 水質 / 貧栄養水 / 富栄養化 / 生態遷移 |
Research Abstract |
京都市深泥池浮島の沈下した冬季に浮島の表層水の水質を測定すると、pHが6を越える池の水から浮島の内部にかけてpHと電気電動度の低下が見られ、pHの高い池の水が浮島に影響していた。浮島のミズゴケ湿原の過去10年間の変動を調べると、浮島内部ではミズゴケ湿原の拡大・新生が見られるが、浮島周辺部では縮小・消滅ばかりであり、拡大・新生と縮少・消滅はpH5から6を境に入れ替わっていた。深泥池浮島でシュレンケにマット状に広がりビュルテ形成の始まりとなるハリミズゴケについて室内実験で水質と成長の関係を調べた。深泥池のpHの異なる水で栽培すると、伸長成長はpHの上昇に連れて低下したが、乾重増はpHが上昇しても低下しなかった。Tris-MES緩衝液でpH5から7まで栽培すると、pH6以上で伸長も乾重増も停止して、枯死した。しかし、カルシウムイオンを加えるとpH7での伸長を除いて成長は回復した。pH7での伸長にはカルシウムイオンに200倍希釈Hoagland液を加える必要があり、とくにリン酸イオンは不可欠であった。ただし、リン酸イオンは20mMの濃度で、オルトリン酸なら0.1mMでハリミズゴケを枯死させた。これらの実験から、pHとカルシウムイオン濃度単独の上昇は影響しないが共同するとミズゴケを加害するという今までの定説とは異なって、富栄養化によるpHの中性化がミズゴケを枯死させること、カルシウムイオンはこれを緩和すること、少量のリン酸イオンは中性での伸長を促進するが、少し多くなるとかえってミズゴケを枯死させることがわかった。現在でも深泥池の林が残っている集水域からの雨起源の流入水は貧栄養でミズゴケの生育に適しており、pHを中性化させる水道水やリン酸を含む生活排水の流入が停止されれば、減少しつつある深泥池浮島のミズゴケ湿原は生残・回復するものと思われる。
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