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¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
強誘電性高分子薄膜の新しい機能素子の開発を目指して,高分子の中で最も顕著な強誘電性を示し,また,高度な結晶化度を示すP(VDF-TrFE)(フッ化ビニリデンと三フッ化エチレンの共重合体)薄膜の基礎的物性,圧電性,光電物性を調べた.また機能が期待できる孤立微粒子単結晶の作製を検討した.その結果,次のことがわかった. (1)感光性色素,電荷移動錯体をドープした共重合薄膜における電子ー正孔の光生成効率は膜中に強誘電性ラメラ結晶を成長させることによって,著しく向上する.それはラメラ間に存在する内部電場のためと考えられる.また,焦電効果も同様に大きくなることがわかった.(2)共重合体薄膜は圧電体として極低温でも室温と同様な大きい電気機械結合係数を有し,また大きい焦電圧を示す.前者は電歪定数が温度にかかわらず一定であることから,また,後者は比熱が分極変化の温度係数よりも低温出よりも急激に小さくなることに由来し,低温での分子鎖振動の量子的効果が原因であることがわかった.これらの性質は共重合体薄膜で極低温でも効果的な超音波素子や熱センサーが作製できることを示す.(3)共重合体の希薄溶薪を非可溶性液体に分散させることによって,共重合体の微粒子が得られ,これら結晶化して,孤立した単結晶微粒子を作製することに成功した.このような方法で結晶を試みはこれが最初である.物性を評価している.またラメラ単結晶の電子数回折により,微結晶中に興味ある高次構造を見いだした.(4)強誘電性高分子と複合化して,新しい機能が期待できるようないくつかの有機分子薄膜の構造と物性を調べた.可溶性銅フタロシアニンと長鎖アルコールとの1:1混晶LB膜のCu(II)のESRなどの結果から,膜内での分子の配列を明らかにした.また,各種のラジカル塩のの薄膜を電気化学的方法によって作製し,その電気磁気的性質を明らかにした. これまでに得た知見をベースにして,今後さらに研究を展開する.
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